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デーモンハント

第4章 主従

ズドン!と、大きな音がして、エルザは足を止めた。

「何?さっきの音?」

音がしたであろう、上の方を見上げる。
おそらく音は上の階からしたものだ。

エルザはキッと天井を睨んでから、上に上がる階段を探すために足を進める。
するとエルザの目の前に何かが落ちてきた。
とっさにエルザは鎌でそれを弾くと、キィンと、高い音がして地面に何かが突き刺さる。

突き刺さったのは、一本の剣だった。
鋭く光を放つその剣を睨んでいると、エルザは背後に気配を感じて振り向くのと同時に鎌を振る。

しかし、鎌は何者かにかすっただけで、ダメージは与えられなかった。

「中々の反応速度だな」

攻撃を避けた何者かは、そう言うと舌なめずりをする。
そいつは蛇の頭に角が生えた姿をしていて、舌先は二つに割れていた。
露出している部分が鱗に包まれているため、全身が鱗に守られているのだろう。

エルザは鎌を両手で握り、敵を見つめる。

「邪魔しないでくれる?相棒を奪われてイライラしてるの」

殺意を込めた瞳を敵に向けると、彼はくくっと笑う。
そして、人差し指をくいっと動かすと、地面に刺さっていた剣が浮き上がり、エルザの背中に目掛けて飛んで来る。

エルザはさっとそれを回避すると、敵の方に大きく一歩踏み出した。
鎌を振り、相手の首を狙うが、その前に敵は剣を掴み、エルザの鎌を弾く。
火花が散り、反撃を受けないよう、エルザは後ろに飛び退いた。

「あの方の所へは行かせない」

敵はそう言うと、剣を構えてエルザの方に向かって来る。
エルザは敵の攻撃を鎌で受け、敵の腹部に蹴りを入れた。
しかし、敵は少し後退した程度で、ダメージは入っていない事が分かる。

剣と鎌がぶつかる音が響く中、敵は不気味に笑った。
まるで、勝利を確信したかのように。

その表情に、エルザは苦々しい表情になり、舌打ちをした。

このまま打ち合いを続ければ、体力の差で必ずエルザの方が不利になる。

(早く決めなきゃ)

ソレルを取り返すためにも、こんな所でもたついてなどいられない。
エルザは鎌を持つ手に力を込め、相手の剣を力ずくで弾いた。

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