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デーモンハント

第4章 主従

攻撃を受け流されると思っていた敵は、突然の力押しに驚いたものの、直ぐ様エルザの攻撃に備えて剣を自分の前に出す。
エルザはその剣を持つ手を蹴り上げてから、飛び上がった。

「何?」

蹴られた事に敵が驚いていると、エルザは相手の首に足を掛けて、勢いのままに押し倒した。
そして敵が起き上がろうとした時、首に鎌を掛ける。

「なっ!」

何が起きたのか分からず、声を漏らした敵の首を、エルザは無言で切り落とした。
首が転がり落ちる。

「これで……」

終わったと、そう思った瞬間。
残された敵の体が動き、剣でエルザの背中を切った。

「こいつッ!」

エルザは気配に気付いて何とか致命傷を避けたが、深傷を負ってしまった事には変わり無い。
エルザは鎌を振り下ろし、転がっている敵の頭に鎌を深く刺した。

「クハハっ!お前程度では、あの方には勝てない、ぞ」

敵はそう言うと、だらしなく舌を垂れながら息絶える。
エルザは鎌を引き抜き、深く呼吸をした。

「勝つ……勝ってやる……アタシからソレルを奪おうとする奴は許さないんだから」

傷がズキズキと痛むが、エルザは歩き出す。
その時だった。

エルザの頭上から、パラパラと砂のような物が落ちてきて、エルザは天井を見上げる。
すると、天井からするりと何かが出てきた。

それを確認した瞬間、エルザは笑顔になる。

天井から出てきたのは、ソレルだった。

「ソレル!」

喜ぶエルザを見て、ソレルは優しく微笑み、そしてエルザを抱き寄せると、そのままエルザを抱えてソレルは走った。

「え?」

エルザが声を漏らした直後、天井が破壊され、瓦礫と一緒に赤黒い肉の塊のような物が降ってくる。
先ほどエルザが倒した敵の体は瓦礫に潰され、瓦礫の下に血が広がった。

「逃がざないわよぉ」

肉の塊は触手をうねらせながら、ズルズルとソレルの方に近付いて来る。

「ちょっと、ソレル、アレ何よ?」

エルザが聞くと、ソレルは笑い。

「敵のボスです、エトナさんというらしいですよ」

と、のんびりした口調で答えた。

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