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デーモンハント

第4章 主従

ソレルの言葉を聞いたエルザは、肉の塊から蜘蛛の足が生えた化け物であるエトナを睨む。

「敵のボスね、だったら殺すまでよ!」

エルザはソレルの腕からするりと抜けて、エトナの前に立った。
ソレルはエルザの背中を見てから、エトナの方を見る。

「倒すの、大変そうですよ」

ソレルが言うと、エルザはにっと笑う。

「挑むところよ」

言って、エルザは鎌を両手で握り、姿勢を低くする。
エトナは何十とある眼球をギョロギョロと動かし、そしてエルザに視線を向けた。

「あなだがボレスをごろじだハンダーね、おどなじぐ、そごのあぐまをよごじなざい」

口からどろりと唾液をこぼしながら、エトナが言う。

「ソレルはアタシの物よ、アンタになんか渡すもんですか」

殺意を露にしながらエルザは返し、エトナを睨む。

「なら、ごろず」

エトナが言うなり、何本もの触手がエルザに向かって伸びる。
それをエルザは切り落としながら、エトナに向かって走り出した。

ソレルはそんなエルザを見ながら、心配そうな表情になる。
背中に大きな怪我があるのが見えて、眉間に皺を寄せた。

エルザは触手を切りながら、エトナとの距離を詰めると、エトナの目の前でジャンプをする。
高く飛んだエルザは、崩れた天井を蹴り飛ばし、大きな瓦礫をエトナの上に落とした。

しかしエトナはその瓦礫を大きなぶくぶくと膨れた手で弾き落とし、エルザを見上げる。
エルザは鎌を振り上げ、体を回転させると、エトナの頭を切り裂いた。

「図体がデカイかわりに、動きは遅いわね」

くるりと宙返りをして、エルザは着地する。
エトナに大きなダメージを与えたとエルザは思っていたが、エトナの傷がみるみる塞がって行くのが見えて、目を見開いた。

「うわ、すっごいタフ」

呟いたエルザの額に、汗が滲む。
背中の怪我も痛み、エルザの表情は苦々しいものになった。

「エルザ」

ソレルが駆け寄って来て、振り向いたエルザの唇に、自身の唇を重ねる。

エルザは驚いたが、同時に背中の痛みが引いていく事に気づいた。

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