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デーモンハント

第4章 主従

エルザは駆け出し、エトナとの距離を詰める。
そして鎌を振り、先ずは両腕を切り落とした。
するとエトナは再生した触手でエルザを狙う。

それを回避して、エルザは更にエトナの頭を素早く二度、切った。
エトナは叫び声を上げて、体を丸める。
傷は回復していたが、それ以上にエルザの攻撃は苛烈だった。

「いい感じですよー」

ソレルが気の抜けた声援を送るが、エルザはそれを無視して攻撃する事に集中する。
迫って来る触手を相手にしながら、エトナの体を切り落としていった。

すると分厚い肉の中に、宝石のような塊が顔を出す。
それが弱点だと確信したエルザは、思い切り鎌をその塊に突き立てた。

「ぎゃぁぁ!」

叫び声が響き、エトナの体から炎が吹き出す。
エルザはギリギリで炎から逃れ、燃えるエトナの事を見た。

炎に包まれたエトナは、ゆっくりと床に伏して、その動きを止める。
そして徐々に炎は消えていった。

「やったの?」

エトナのタフさを考えると、本当に彼女を倒せたのかと不安がよぎる。
炎が完全に消えたのを確認して、そっとエルザは近付いた。
エトナの体は溶けていて、その中に弱点だった塊が砕けたものが確認できる。

「やった……」

ほっと息をついて、エルザは鎌から手を離した。
連戦で、もう体力が限界だった。

「お疲れ様です」

ソレルが笑顔を見せながら言う。
エルザは振り向いて、ソレルの方に駆け寄り、その体に抱きついた。

「よかった、ソレルが生きていて、本当によかった」

安心したように、静かにエルザは言う。
そんなエルザの頭を撫で、ソレルはそっとエルザの背中に手を回した。

「俺はエルザの従者として、死ぬわけにはいきません、だから安心してください、ご主人様」

優しく、ソレルが言った。
エルザは笑顔を見せて、頷く。

「さて、早くここから出ようか」

エルザは言うと歩き出す。
ソレルも歩き出した。
赤黒く変わっていた壁や天井も、ただの廃校に戻っている。

二人は学校を出て、車に乗った。
そのタイミングでエルザの携帯電話に着信が入る。

「はい」
「仕事は終えたようだな」

出るとそれはケイシーからの電話だった。

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