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デーモンハント

第4章 主従

エルザは。

「うん、終わった」

と返すと、ケイシーはふぅ、と息を吐く。

「後は清掃係にまかせ、帰るといい、ご苦労だった」

そう言われ、エルザはふっと笑う。

電話を切って、ソレルの方を見た。

「帰ろう、ソレル」

笑顔で言うと、ソレルも微笑み、車を出す。
家までは約三時間の距離だ。
エルザは少し窓を開け、風を受けながら目を閉じる。

「エルザ、寄り道してもいいですか?」

不意にソレルが声を掛けて来た。
エルザは振り向いて首を傾げる。

「寄り道?こんな時間に?」

そう返すと、ソレルは困ったように眉をハの字にした。

「何処かで魔力の補給をしたいのですよ、魔力の使いすぎで、そろそろ限界なので」

ソレルに言われ、エルザは顔を赤くする。
魔力の補給をするという事は、エルザを抱くという事だ。

確かに、シフォンが家に来てから一度も体を合わせていない。
キスはしたが、それだけでは魔力の回復に足りないだろう。

「エルザ?ダメですか?」

ソレルに聞かれ、エルザはぶんぶんと首を振る。

「ダメとは言わない!……言わないけど……」

ソレルと体を重ねるのは、魔力の補給のためでしかないと、エルザは分かっていた。
それだけの行為なのだと思って割りきろうと思っているものの、いざ行為に及びたいと言われると、妙に意識してしまって恥ずかしくなる。

ソレルとの行為は、何度やっても照れてしまう。

「言わないけど、何ですか?」

ソレルに突っ込まれ、エルザは下を向く。

「……何処でやるの?車の中?」

もじもじとしながら、エルザが問いかける。
するとソレルはにこっと笑う。

「ホテルですよ、来る時にちゃんと見付けておきました」

どうやら、運転しながらちゃっかりホテルに目星をつけていたらしい。
エルザは頬を赤くしながら。

「分かった、いいよ、沢山助けてもらっているもの」

と返す。
それを聞いたソレルは嬉しそうに鼻歌を歌い出した。
ご機嫌なソレルの横顔を見ながら、エルザは微笑む。
しかし、どこか寂しさを感じて、胸が痛くなった。

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