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デーモンハント

第4章 主従

ホテルに着いた二人は、受付で手続きをする。
小さなホテルではあったが、受付はロボットが行っており、生身の人間とは会うことがなかった。

何年か前から、最近のホテルの殆んどは、こうして受付業務をロボットにやらせていた。
人間が接客するのは、よほどの高級ホテル程度だ。

手続きを終えた二人は鍵を受け取って鍵と同じ番号が書かれた部屋へと入る。
ラブホテルとは違う雰囲気の室内は、とてもシンプルに作られていた。
大きめのダブルベッドに、小さなシャワールームがある。

「先に入る?」

エルザがソレルに聞くと、ソレルは頷いた。

「では、少し待っていてください」

そう言うと、ソレルはシャワールームへと入っていく。
エルザもそうだが、ソレルも血で汚れていた。
受付がロボットでは無かったら大騒ぎになっていただろう。

エルザは羽織っていた前開きのパーカーを脱いでふと気付く。
体の傷だけではなく、破れた服も直っていた。
ただ、返り血で汚れている。

(ソレル……服も直してくれたんだ)

これならば、シフォンに余計な心配を掛けることは無いだろう。
その血はどうしたのかと聞かれたなら、敵の返り血だと返せる。
エルザはソレルに感謝してから、窓に近付く。

外の景色を見ると、工業地帯の明かりが見えた。



暫く経つと、ソレルがシャワーを終えて出てきた。
タオルで頭を拭きながら、エルザに笑顔を向ける。

「お待たせしました」

ソレルに言われ、椅子に腰を掛けていたエルザは立ち上がった。

「じゃ、待ってて」

エルザは軽く言ってシャワールームに向かう。
狭い脱衣場で服を脱ぎ、中に入る。
蛇口を捻ると、熱めのお湯が出てきて、それが心地よかった。

血と埃を丁寧に洗い流す。

これからソレルと体を合わせるのだと思うと、少し嬉しかった。

そして体を清めたエルザは、バスローブを着て脱衣場を出る。
ベッドに座って待っていたソレルが、笑顔で立ち上がった。

そして、ソレルはエルザに近付いて、そっと髪を撫でる。

「エルザ」

名前を呼ばれて、エルザの体はじんと熱くなった。
ソレルがエルザを求めるように、エルザもまた、ソレルを求めていた。

「ソレル……」

エルザはソレルの首に腕を回し、エルザの方からソレルに口付けをする。
ソレルは優しくエルザを抱き寄せ、ベッドの上に押し倒した。

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