テキストサイズ

デーモンハント

第5章 傷

二人があちらこちらを見て回る中、ソレルは必要な食材を買う。

「お、来たね色男!今日のオススメはキュウリだよ!」

野菜を売っている店主に呼び止められ、ソレルは店先に並ぶキュウリを覗く。
このマーケットでは、ソレルは既に常連となり、店の人々と顔見知りになっていた。

「キュウリですか」

ソレルが呟くと、店主はにかっと笑ってごつい手でキュウリを一本持ち上げる。

「ピクルスやサラダに最適だよ」

店主に言われ、ソレルは考えた。
ピクルスにするか、サラダにするか。
どちらにしても、何を主食にしようかと、考える。

「うん、今夜はサラダとパスタですね、キュウリを二本ください」

ソレルが言うと、店主は「あいよ!」と元気に言ってキュウリを袋に入れた。
ついでにミニトマトも放り込む。

「ほらよ、おまけだ」
「わぁ、有難うございます」

ソレルはお金を払い、嬉しそうに袋を受け取る。

(家に野菜はありますし、サラダの食材はこれで十分、パスタも常備していますし、ベーコンを買ってペペロンチーノにしましょう)

頭の中でソレルは献立を考え、自然と笑顔になった。

「ねぇソレルー」

エルザに呼ばれ、ソレルは振り向く。
エルザとシフォンがひとつの露店の前で立ち止まり、ソレルに手を振っていた。

「はいはい、どうしました?」

ソレルは小走りで二人の所へ行くと、二人は店に並ぶアクセサリーの方を見た。

「アタシとシフォン、お揃いのバングルを買いたいんだけど、いい?」

エルザはソレルの顔色を伺うように、ソレルを上目遣いで見上げる。
お金の管理が苦手なエルザに代わり、ソレルがお金を管理していた。
それ故、何か買いたい時はソレルに聞くのがルールとなっている。

「どれが欲しいんですか?」

ソレルが並んでいるバングルに視線を向けると、シフォンが金色のラインバングルを指差した。

「これ!」

元気に言ったシフォンが指し示すバングルを見て、ソレルはエルザとシフォンを見る。

「金で良いのですか?」

そう聞くと、シフォンは頷いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ