デーモンハント
第5章 傷
男の声に、シフォンはガタガタと震えだす。
家族を失ったあの日に聞いた声と同じ声だと、すぐに気付いた。
後ろから、手が伸ばされ、男の手がシフォンの首に絡む。
「君は逃がさない、オモチャにするって決めたんだ」
男が囁くように言って、シフォンの耳に軽く息をかけた。
「いやぁぁぁ!!」
思わずシフォンは叫び、体を丸める。
その叫び声に気付いたエルザが、顔色を変えて駆け寄った。
「どうしたの?!シフォン!」
エルザがシフォンの肩に手を置いて問いかける。
既にあの男の気配は消え、エルザが見た時にはもう姿も無かった。
「アイツ、アイツが、死んだはずなのに!」
泣きながらシフォンは頭をぶんぶんと振る。
エルザはシフォンを抱き締め、背中を擦った。
(しくじった、少しでも離れるべきじゃなかった)
エルザは苦い表情になりながら、泣きじゃくるシフォンを抱き締め続ける。
シフォンの小さな体は、可哀想なほど震えていた。
暫くして、やっとシフォンは泣き止んだ。
しかし体の震えは止まらず、歯がカチカチと小さく鳴っている。
「シフォン……離れてごめんね」
エルザが言うと、シフォンは震えながらもエルザを見て、首を振った。
「エルザは……悪くない」
泣いて赤くなった目で、エルザを見つめながら言う。
「ねぇ、エルザ、私の家族を殺した悪魔は倒したんだよね?あの日、死んだんだよね?」
そうシフォンに聞かれたエルザは、何も返せなかった。
嘘をついて安心させる事は簡単だが、それで解決できることではない。
悪魔からアクションがあった以上、嘘をついてもすぐにバレるだろう。
しかし、悪魔が生きていると知ったら、シフォンは恐怖を感じてしまうに違いない。
果たしてどう返すのが正解なのか、エルザには分からず、ただ沈黙してしまう。
家族を失ったあの日に聞いた声と同じ声だと、すぐに気付いた。
後ろから、手が伸ばされ、男の手がシフォンの首に絡む。
「君は逃がさない、オモチャにするって決めたんだ」
男が囁くように言って、シフォンの耳に軽く息をかけた。
「いやぁぁぁ!!」
思わずシフォンは叫び、体を丸める。
その叫び声に気付いたエルザが、顔色を変えて駆け寄った。
「どうしたの?!シフォン!」
エルザがシフォンの肩に手を置いて問いかける。
既にあの男の気配は消え、エルザが見た時にはもう姿も無かった。
「アイツ、アイツが、死んだはずなのに!」
泣きながらシフォンは頭をぶんぶんと振る。
エルザはシフォンを抱き締め、背中を擦った。
(しくじった、少しでも離れるべきじゃなかった)
エルザは苦い表情になりながら、泣きじゃくるシフォンを抱き締め続ける。
シフォンの小さな体は、可哀想なほど震えていた。
暫くして、やっとシフォンは泣き止んだ。
しかし体の震えは止まらず、歯がカチカチと小さく鳴っている。
「シフォン……離れてごめんね」
エルザが言うと、シフォンは震えながらもエルザを見て、首を振った。
「エルザは……悪くない」
泣いて赤くなった目で、エルザを見つめながら言う。
「ねぇ、エルザ、私の家族を殺した悪魔は倒したんだよね?あの日、死んだんだよね?」
そうシフォンに聞かれたエルザは、何も返せなかった。
嘘をついて安心させる事は簡単だが、それで解決できることではない。
悪魔からアクションがあった以上、嘘をついてもすぐにバレるだろう。
しかし、悪魔が生きていると知ったら、シフォンは恐怖を感じてしまうに違いない。
果たしてどう返すのが正解なのか、エルザには分からず、ただ沈黙してしまう。