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デーモンハント

第7章 偉大な方

エルザは呼吸を乱しながら、倒れた悪魔を睨む。
悪魔は体を痙攣させながら、まだ口が動いている。

「エルザ、頭を完全に潰してください」

体に刺さった剣を引き抜きながらソレルが言うと、エルザは頷いて剣を振り下ろした。
何度も、何度も悪魔の頭を剣で叩き潰す。
そうしていく内に、悪魔の体はぴくりとも動かなくなった。

「……これで、いいわね」

エルザが呟くと、ソレルが駆け寄ってくる。
剣で貫かれたソレルの傷は既に治り始めていた。

ソレルは悪魔の死体を確認すると、一度頷いてからエルザを見る。

「急いで帰りましょう、シフォンさんが危ないです」

そう言われ、エルザはソレルを見た。

「どういうこと?」

エルザが聞くと、ソレルは表情を曇らせる。

「脳をやられて、俺の魔力が途切れたということは、家に張ってある結界も解けていますから、仮面の悪魔がシフォンさんの所に行った可能性があります」

ソレルが言うと、エルザは眉間にシワを寄せて剣を握る手に力を込めた。

「早く行くわよソレル!」

エルザが言ってソレルの肩を掴むと、ソレルは無言でエルザに口づけをした。
この急がなければいけないタイミングで口づけをされたエルザが驚きに目を見開く。

するとエルザの体の火傷の痛みが引いていく感じがして、エルザは更に驚いた。
ソレルはそっと顔を離すと、にっこり笑う。

「綺麗にしないと、シフォンさんが驚きますからね」

その言葉に、エルザは少しだけ笑い、ソレルに抱きつく。
ソレルはエルザの腰を抱き寄せ、指をパチンと鳴らした。
二人が光に包まれ、血まみれになった城の中からその姿を消した。

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