無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

エルザの家で、シフォンは目を閉じていた。
不安に押し潰されそうな心を抱きながら、ひたすら二人が無事に帰ってくることを祈る。

ベッドの中で体を丸めていると、玄関のドアが開く音がした。

(エルザ達が帰ってきた！)

そう思ったシフォンは起き上がり、ベッドを降りる。
そして二人を出迎えようと部屋のドアを開けると、そこには人が一人立っていた。

否、人ではない。

そこにいたのは、仮面をつけた悪魔だった。

一気にシフォンの体から熱が引く。
冷や汗が吹き出し、顔色を青くした。

「やぁ」

仮面の悪魔は軽い調子で片手を上げて、シフォンに声を掛ける。
シフォンは後ろに下がり、悪魔と距離をとろうとしたが、すぐに足がもつれてしりもちをつく。

そこからまた、逃げるように四つん這いになりながら、壁際まで移動した。

悪魔はそんなシフォンを楽しそうに追い詰めて、シフォンの前にしゃがみこむ。

「そんなに逃げないで、どうせ助けも来ないんだから」

悪魔はそう言って、シフォンの顎を持ち上げた。

「いやぁ！」

シフォンは叫び、悪魔の手を振り払う。
その反応を楽しむように、悪魔はククッと笑った。

そして悪魔は怯えるシフォンの首を指で撫で、恐怖に縮こまる彼女に顔を近付ける。

「二人が帰ってくると思っていますか？」

耳元で、悪魔が囁く。
その不穏な言葉を聞いたシフォンは、青い顔で悪魔を見上げた。

「ふ、二人に何をしたの？」

震える声でシフォンが聞くと、悪魔は愉快そうに口を歪める。

「二人は偉大な方と呼ばれる悪魔のエサになりました」

そう悪魔に返され、シフォンは驚きに目を見開いた。
二人が悪魔のエサになったなど、信じたくなくて、シフォンの目に涙が浮かぶ。

「そんなに怖がらないで……大人しくボクのおもちゃになりなよ」

やけに優しい口振りで悪魔が言う。
シフォンは涙を流し、目の前の絶望から逃れようと目を閉じた。
その時だった。

パン！と音がして、悪魔の頭から血が吹き出す。
音に驚いたシフォンが、部屋の出入口を見ると、そこにはミファが立っていた。
彼女はへっぴり腰になりながらも、拳銃を構えている。

「彼女から離れてください！」

ミファが言うと、悪魔はゆっくりと振り向き、妖しく笑った。