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デーモンハント

第8章 シフォン

ミファは、銃口を仮面の悪魔に向けながら、じりじりと移動をする。
そのミファを見ながら、悪魔は余裕ありげに笑みを浮かべていた。

ミファはシフォンに近付くと、シフォンの腕を掴んで立たせる。

「走れますか?」

シフォンにミファが問いかけた。
シフォンはガクガクとする膝に無理矢理力を入れて、ミファに支えられながら涙を浮かべる。

立つ事ができても、走れそうにない。
それに気付いたミファは、悪魔を睨みながら、シフォンと一緒にゆっくり歩く。

「動かないでくださいね、動いたら撃ちますからね!」

そう言ったミファの頬を汗が伝う。
緊張のせいだろうか。
嫌な汗が吹き出して止まらない。
決して前線で戦う立場の人間では無いミファは、今すぐにでもこの場から逃げ出したくなっていた。

何とか、ドアの近くまで来たミファは、悪魔に背を向けないようにしながら、部屋から出ようとする。
しかし、突然シフォンが立ち止まり、ミファは焦った。

「ど、どうしました?」

慌ててミファがシフォンを見ると、シフォンは目を見開いて震えている。
その視線はミファの後方へと向けられていて、ミファは気付く。
大きな影が、自分にかかっていることに。

ミファが恐る恐る振り向くと、そこにはヤギ頭の悪魔が立っていた。

「ひっ!」

ミファが声を漏らした瞬間、ヤギ頭の悪魔がミファの首を掴み、持ち上げる。
足が浮いたミファは、シフォンから手を離して、両手で銃を握った。

「こ、このぉ」

声を絞りだしながら、引き金をひく。

パン!パン!

と銃声が響き、ヤギ頭の悪魔の胸に穴が空いた。
しかし、ヤギ頭の悪魔は一切動じず、ミファの首を掴む手に力を込める。

「あっ!がっ!」

苦しそうに喘ぎ、ミファは目を見開いた。
手の中から銃が滑り落ち、音を立てて床に落ちる。

「残念、逃げられないねぇ」

仮面の悪魔は楽しげに言うと、涙を流して震えるシフォンに近付き、肩を抱き寄せた。

暴れていたミファの動きがどんどん鈍くなり、手から力が抜ける。

無抵抗になったミファをヤギ頭の悪魔は投げ、床に転がした。
途端にミファは咳き込み、大きく息を吸って涙を流す。

「じゃあ、後は殺すなり犯すなり、好きにしな」

そう言うと、仮面の悪魔はシフォンと一緒に暗闇の中に消えていった。

残されたミファは、ヤギ頭の悪魔を見て、恐怖に震えた。

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