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「とにかくソレル、早く足を治してあげて」

エルザに言われ、ソレルは頷く。
そしてミファの隣に行くと、ミファの足を正しい向きに変えた。
もう痛いという感覚が無いのだろう。
ミファは折れた足に触られても何の反応も示さない。

ソレルは目を閉じ、ゆっくり足を撫でる。
撫でた所が淡い光に包まれ、内出血をして紫色になった部分が自然な肌の色に戻っていく。

ソレルはもう片方の足も治し終えると、目を開けてエルザを見た。

「これで足は大丈夫です」

ソレルが言うと、エルザが微笑む。
ミファは虚ろな眼差しでソレルを見る。

「有難うございます」

ミファが言うと、ソレルは「いえいえ」と笑顔で返した。
唇を震わせながら、ミファはエルザを見上げる。

「私、ケイシー様から、お二人の様子を見て来いと言われて……来てみたら、家を守っていたソレルさんの魔力が消えていて、シフォンさんを保護しようとしたのですが……ごめんなさい」

震える声でミファは言って、目を涙で潤ませた。
エルザはミファに微笑みかけて、そっとミファを抱き上げる。
そしてベッドの上に寝かせるとミファの頬に触れた。

「有難う、ミファ、貴女は十分頑張ったわ」

そう伝えると、ミファは笑顔を見せて、目を閉じる。
エルザはミファから離れると、ソレルを見た。

「あの悪魔がどこにいるかわる？」

鋭い眼差しでエルザが聞くと、ソレルは頷く。

エルザは服のポケットを触り、何かを探す素振りを見せる。
それが携帯を探している仕草だと気付いたソレルは、指をパチンと鳴らす。
すると手の中にエルザの携帯が現れ、それをエルザに差し出した。

「あ、有難う」

エルザはお礼を言って携帯を受け取ると、直ぐに電話をかける。
電話の相手はケイシーだ。
呼び出し音が数回続いたところで、ケイシーは電話に出る。

「どうした？」

ケイシーの声を聞き、エルザは口を開く。

「アタシの家に急いで救護班をよこして」

エルザの言葉を聞いて、ケイシーはミファに何かあった事に気付いたらしく「わかった」と返してきた。

「じゃあ、それだけだから」

そう言ってエルザが電話を切ろうとした時。

「気を付けろ」

ケイシーが言う。

「……心配有難う」

エルザは返して、電話を切った。

「行くわよソレル」

エルザが言うと、ソレルは「はい」と言って笑った。