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シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 108 蒼井美冴 ⑥

 ズキ、ズキ、ズキ、ズキ…

 心の疼きが、子宮の疼きへとシフトしてしまったようだ。

 ああ、ヤバい、感じて…

「あーっ、何してんですかぁ」
 その時、突然、越前屋さんがそう言ってきたのだ。
 そしてその彼女の声に大原本部長とゆかり部長の二人がこちらを向いた。

 ヤバい、まずい…
 見られてしまった。

 そして健太くんもその彼女の声に、揉んでいた指を離したのだ。

 だが…

「ああー、いいなぁ、わたしもマッサージしてもらいたいなぁ…」

 マッサージって…

 そうなのだ、普通の、ノーマルな人から見たら、ただの足裏マッサージなのである。
 わたし達のような脚フェチ、ストッキング脚フェチにとっては妖しい前戯のようになってしまうのだが、ノーマルの人には全く想像もつかない事なのだ。

 そ、そうか、そうよね…
 ホッとした。

「ねぇ、武石さん、わたしにもぉマッサージしてくださいよぉ…」
 ホント、この越前屋さんの無邪気さには救われたのだ。

「仕方ねぇなぁ…」
 多分、健太くんもホッとしながらそう言っているのだと思われる。
 そしてわたしは気持ちを落ち着かせる意味もあり、トイレに向かう。

 あ…
 便座に座って用を済ませて確認する。

 濡れてる…
 わたしは先ほどの欲情の疼きに濡らしていたのだ。
 やはり危なかったのであった、あそこで越前屋さんの声がなかったら、あのまま健太くんに揉ませていたら、一体どうなっていたのだろうか。
 不安定な自律神経が暴走してしまったかもしれなかった。

 危なかった…

 本当に越前屋さんに救われたのだ。
 こんな酒宴の席で心の暴走をする訳にはいかないのだ。
 いくら大原本部長が居るとしても、佐々木ゆかり部長が一緒にいるのだ、この前のように甘えて助けてもらう訳にはいかないのである。
 仮に、この前の夜のように抱かれて治めるのにも、ゆかり部長から大原本部長は引き離すという至難の流れがあるのだ。
 それも、いかにも自然に、細心の注意を払わなくちゃならないのである。
 そんな事は心の暴走をしている時には絶対に出来る筈がないのだ。

 あ…
 そうだ。

 いた…
 全く危険も、面倒くさくもない。

 武石健太がいた…
 嫌いなタイプではない。

 そもそもが健太のせいなのだから…







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