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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 69 黒歴史…(4)

 昨年、日本アカデミー賞助演男優賞を受賞した俳優『三山蓮太郎』…

 そしてわたしの過去の消し去りたい汚点である黒歴史の生き証人である彼が、大学を卒業したばかりで、親の脛を囓ってフラフラと遊んでいた『三山蓮』と知り合ったのは、そんな某国会議員の馬鹿息子中心のグループの溜まり場であり、その根城である『六本木クラブJ』の超VIPルームであった。

 一説にはこの『六本木クラブJ』の本当のオーナーが、その某国会議員の馬鹿息子であったという噂があった様に、その超VIPメンバーは厳正なる審査基準をクリアしないとなれないという超秘密感のあるメンバーであったのだ。
 だから、この超VIPルームに出入りできる事は、イコール、このディスコでのステイタスであった。
 そしてわたし自身もその当時のツレの推薦で出入りができていたし、基本的には女性に対しては色々と甘かったのである。

 要は、ヤれて、軽くて、そして見た目がいい女なら良かっただけの事なのだ…

 そしてその甘さ、イコールは、セックスの甘さでもある…

 そんな超VIPメンバーであったから、そのメンバーの顔触れは蒼々たる面々の、親の七光りの恩恵を享受しているお金持ちの馬鹿息子達ばかりであった。

 今、現在、そんな過去のメンバー達の数人を、テレビや雑誌等で活躍している姿をたまに見かける…
 そしてその面々の全員が皆、そんな過去の黒歴史なんて全く無い、知らぬ存ぜぬの様な、澄ました顔をしていた。

 だが、今となっては、わたしと彼等とは全く住む世界が違うのである…

 だから、もし、偶然に、どこかで出会ったりしたとしても、多分、お互いに知らん顔をする筈であり、そして間違い無くお互いの内心では『あの頃は若気の至り』だった…
 くらいに思う程度の筈なのだ。

 だから、今日の、あの蓮の様に
『また今度、昔みたいに遊ぼうよ…』
 なんて絶対に言う筈がないのであるのだが…
 彼は、シラッとそんな言葉を言ってきたのである。

 そして彼は、日本アカデミー賞助演男優賞受賞の俳優であるのにもかかわらずなのにだ…

 だから、わたしには余計に悪い予感がして仕方がないのであった…





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