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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 70 黒歴史…(5)

 だから、今日の、あの蓮の様に
『また今度、昔みたいに遊ぼうよ…』
 なんて絶対に言う筈がないのであるのだが…
 
 だが、なんと、彼は、シラッとそんな言葉を言ってきたのである。

 彼は日本アカデミー賞助演男優賞受賞の俳優であるのにもかかわらずなのにだ…

 だから、わたしは余計に悪い予感がして仕方がないのであった…

 
 そして大麻、マリファナにハマって約一年のわたしは、普通にラリって、決まっていたのだが…
 何度となく経験を積み重ねしていくと、そのモノが良質品なのか、粗悪品なのかが分かる様になってくる。

 つまりそれは、いい酒と安い酒を見分けられる…
 みたいな事に通じてきて、当時のわたしは生意気にも良し悪しを語る様な、まるで大麻のエセグルメみたいになっていたのだ。

 それに、やはり、その大麻、マリファナの良し悪しというモノは、お金、値段の問題に比例して、やはり高い、高級品の方がよりラリり、決まり、酩酊ができてより強い快感を生んでくる。

 そしてわたしは、自分自身の容姿のせいもあって超VIPメンバーの中でも更に中心的なメンバー達、つまりはお金持ちにより好かれ、そしてとどのつまりは簡単にヤれる、軽くて、馬鹿ないい女…
 として、よりそのコミュニティの深部へと誘われていったのだ。

 そんな時に、当時は自称俳優の卵と自ら言っていたお坊ちゃまの『蓮』に声を掛けられたのである…


「ねぇ、キミが有名な『ゆかり姫』なんでしょう?」
 わたしが『クラブJ』のラウンジバーでカクテルを飲んでいると、そう彼、蓮が声を掛けてきたのだ。

 わたしは黙って頷く…

「あのさぁ、すごくいい『チョコ』あるんだけど…」

「えっ『チョコ』が…」

『チョコ』それは…
 大麻の『大麻樹脂』『ハシッシ』を意味する隠語である…

「すごくいい上物だよ、一緒にどう?」

 そしてその彼の誘いは、当時のわたしにとっては最高の甘い誘惑の言葉であったのだ…
 

 


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