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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 134 もう一つ…

「だけどねぇ………
 仮にさぁ、仮によ…
 もしもさぁ、あの酔い潰れたわたしを杉山くんがさぁ…
 つまり、わたしをヤっちゃったとしてもさぁ…」
 
「あ……はい…」

「わたしは次の日の朝も、昼も…
 ううん、その後も…ずうっとさぁ…」

「……はい…」

「わたしは一切、その事には触れない、ううん、話さない、話さなかった、そして責めなかったし、怒らなかった筈なのよね…」

「えっ?、お、怒らない?……」

 どうやら、わたしの話している意味がさっぱり理解できないようであるのだ…

「もぉ…、つまり、知らん顔をする、したってことよ…」

「えっ、そ、そうなんですかっ?」
 杉山くんは本当に不思議そうな顔をしながらそう訊いてきた。

「うん…」
 わたしは頷く。

「え…」
 それはなぜ?…
 と、いう顔をしてくる。

 やはり、全く、女心を…
 いや、男と女の事に関しては中学生並み、いやいや、小学生並なのであろう。

「それはそうよ…
 だってさぁ…
 まずそもそもが、わたしが勝手に酔い潰れちゃったのよぉ…」

「はい…」

「杉山くんがさぁ、無理矢理飲ませた訳じゃなかったわよねぇ」
 黙って頷く。

「だよねぇ…
 わたし自らが進んで飲んで、挙げ句、勝手に酔い潰れちゃったのよねぇ?」 

「はい…そうっス…」

「でしょう、じゃあそれは…
 杉山くんを信用しているから…
 信頼しているから…
 部下だから…
 不安が無いから…よねぇ?」

「あっ、は、はい…
 そうっスね、そう思います…」

「あと……もう一つあるのよ…」

「えっ、もう一つっスか?」

「うん…もう一つね…」

 杉山くんは相変わらずに、さっぱり、全く…
 と、いった不思議な顔をしている。

「もう一つはねぇ……
 うーんとねぇ…
 キミの事がさ…
 嫌いじゃない……って事なのよ」

「えっ」
 わたしがそう言うと、杉山くんは一瞬の内にパァッと赤ら顔になって、そう感嘆の声を上げた。

「き、き、嫌いじゃない…」
 再び目が泳ぐ。

「あ、いや、好きとかじゃないからね…
 あくまでも嫌いじゃない…
 うーん、なんて言ったらいいのかなぁ?
 あ、そうそう、LOVEじゃなくてLIKEよ、LIKE…」
 小、中学生並みだからこの方が通じると思った。






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