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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 138 トラウマ…

「やっぱり男はさぁ、ヤる時はヤらないとね…」
 わたしがそう言うと…
「あ、はい、そうなんスよねぇ…
 実は…昔、一度、拒否られたことがあって…」
 直ぐに杉山くんはそう応えてきた。

 なるほど、どうやらそんな経験がトラウマになっているのか…

「えー、なにぃ、昔ぃ、そんな経験があったのぉ?」
 わたしは思わず食い付いてしまう。

 やっぱり、それなりにはあったんだ…

 確か中学生時代に一度だけ彼女がいたって云っていたような?…

 じゃあ、まさか、中学生時代にってことなのか?…
 なんか、それはそれで極端過ぎるような気が急にしてきた。

「あれは高校二年生の時なんスよ…」
 と、わたしが内心慌てていると杉山くんは過去を思い返すかの様に宙を見つめながら話し始めてきたのだ。

 あ、高校二年生の時なんだ…
 さすがに中学生時代ではなかったようである。

「その時、女子バレー部にいい感じの子がいて…
 俺は通学電車も良く会ってたし、それにバスケ部のエースだったから、バスケとバレーねは違いはあったけど、同じ体育館だし、向こうも良く話し掛けてきてくれて…」

「うんうん…」
 わたしは久しぶりに青春の甘い匂いを感じ、杉山くんの話しにワクワクしてきていた。

 わたしの高等部時代は女子しかいなかったけれども、わたしも当時はバスケ部だったし、親友はいなかったけれども周りの皆とはそれなりに恋バナをしていたから、懐かしさが蘇ってきていたのである…

「それで悪友に話したら大丈夫、行ける…って事になって…」

「うんうん…」

「ある日の部活の帰りに告白したんス」

「うんうん…それで?」

「あ、はい…
 うまくいって付き合う事になったんス…」

「うんうん…」
 青春だぁ…

「で…、一週間後位にデートしようってなって、映画に行ったんス」

「うんうん…」
 ワクワクが止まらない…

「でぇ、新宿で映画を観てぇ、カフェに寄ってぇ、帰り送って行くことになり…
 彼女の最寄り駅近くの公園に寄ったんス…」

「うんうん…」
 うわぁ、青春だぁ…
 
「その時っス…」
 すると急に杉山くんが暗くなった…

「うんうん…えっ?…」

 まさか…





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