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　197　無くてはならない存在…

　やはりわたしは変わったのだ…

　以前のわたしならば絶対に断った筈である、いや、その前に、まず、絶対に誘われない筈なのである…

　それが、こうして決して気楽にとはいえない、いや、杉山くんというキャラクターの介在のおかげでもあるのだが…

　食事に誘われたのだ…

　やはり変わったのだ…

　そして…

　この杉山くんというキャラクターが…

　いや、越前屋朋美さんもそうである…

　あ、そう…

　武石健太もそうである…

　この３人は、今やわたしにとっては無くてはならない、居なくてはならない存在となった…

　あ…

　蒼井美冴さんもそうである…

　いや、美冴さんはわたしにとってはまた特別な存在といえる…

　思い返すと、大原本部長と付き合い始めて約二年半…

　そして二年を経過した辺りで『黒い女』として美冴さんが現れ、そこからわたしは変わった…
　彼女の存在感、その美しさと魅惑と魅力に生まれて初めて嫉妬心というモノを自覚した。

　それからだ…
　大原本部長への愛を自覚し、愛されている事をも自覚をし、わたしという自身の根本を変えてくれた様に思われる。

　色々な意味でもわたしにとっては蒼井美冴さんは特別な存在、存在感なのである…

「………に行きましょうよ」
　そんな事を考えていたら杉山くんが何かを言ってきた。
　いや、杉山くんの言葉にそんな事を考えていた思考を遮られ、ハッと我に返ったのだ。

「…えっ、あ、なに？」
　慌てて訊き返す。

「あ、いや、会社の前にあるビストロに行きましょうって言ったんすよ」
　と、杉山くんは再びそう言ってきた。

「あ、うん、そうね…」
　そのビストロはランチにはよく訪れているのだが、余りにも近過ぎて夜は訪れた事は無かった。

　そしてわたしと杉山くん、そして鈴木くんと彼女の松山美咲さんの４人でその会社の目の前のビルの地下にあるビストロに向かったのである。