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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 248 『夢の国』に融ける(7)

「はあぁ、ヤバかったぁ、楽しかったぁ」
 わたしが興奮気味に言うと…

「そうですねぇ、楽しかったし、キレイだったしぃ…」
 美冴さんもテンション高めに返してきた。

 夜の『夢の国』を堪能し、シャトルバスに乗ってベイサイドのホテルに帰ってきて
エレベーターホールに向かうと『夢の国』から帰ってきた宿泊客が沢山居た。

 家族連れ、カップル、グループ、女性、男性等々、様々な宿泊客の様相ではあるが、共通点が一つだけある…
 それは一人一人の目が、キラキラと輝いているのだ。

 それはまるで『夢の国の魔法』に掛かっている様であった…
 そしてわたし達も、そんな魔法に掛かっていた。

「こんなに楽しかったのはいつ以来かしら?」
 魔法に掛かっている美冴さんがそう言ってくる。

 こんなテンション高めの美冴さんは初めて見たかも?…

 基本、美冴さんはいつも物静かな雰囲気と、ややハスキーな声のせいもあって落ち着いた大人の女的なオーラを纏っているのだが…
 今夜は、いや、今は、やはり目をキラキラと輝やかせている。

 そして『夢の国』ファッションでもあるから、余計にそう感じられるのかもしれない…
 いや、わたし自身も『夢の国の魔法』にすっかり掛かっていた。

 それは…

「あ、ん、ゆ、ゆかりさん…」
 部屋のドアを開けるなり、わたしは無意識にゆかりさんに抱き着き…

 唇を求めていった…から。

 ホテルの部屋に吸い込まれた瞬間に…

 脳裏には…

 さっきの『夢の国』での夜のパレードや花火の華々しい煌めきが蘇えり…

 そしてそれを傍らで興奮気味に見ている美冴さんの横顔の美しさが…

 この三日間のビアンの衝動を再び思い起こさせてきて…

 あの美冴さんの柔らかい唇の感触が、欲しくて堪らなくなってしまったのだ…

 いや…

 これこそが『夢の国』の魔法なのだ…


 この興奮の昂ぶりは…

 このホテルの宿泊客の全員に掛かり…

 愛に包まれていく…

 そんな魔法なんだ…


「ぁ、ぁん、ゆ、ゆかり…さん…」

「み、みさ…え…さ…ん…」

 わたし達は壁に寄り掛かりながら、激しくお互いの唇を、舌を、甘い唾液を交わし、貪り合っていく…

 ビアンの衝動が…

『夢の国』の愛の魔法により…

 昂ぶり、走り始めていく…



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