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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 65 準備室室長佐々木ゆかり(3)

 一応、上座にわたしが座る…

「そういえば憧れの大原新常務はどうだったの?」
 本当は秘書の松下さんの事を訊きたいのだが、いきなりは訊けない…

「あっあぁ、もうゆかり室長ぉ、ナイショにってぇ」
 と、越前屋さんは恥ずかしそうに言ってくる。

「ナイショもなにも伊藤さんは知っているし、それに健太と美冴さんだからいいじゃないのぉ」
 わたしはからかい気味にそう言う。

「ふぅんなるほどなぁ」

「へぇ、そうなんだぁ」
 わたしの言葉を受けて健太と美冴さんがそう呟く。

「あぁもぉ、恥ずかしいですぅ」
 そう越前屋さんは下を向くと…

「ええ、でもわたしは越前屋さんの気持ち分かるわぁ…
 大原本部長、あ、常務は…
 大人の素敵な魅力あるもんねぇ…」
 と、美冴さんが助け舟を出す。

「え、そんな美冴さんまで…」
 今度は健太がそんな言葉を真に受ける。

「ほらぁ健太ヤキモチ妬かないの」
 わたしが言うと…
「ええっ、そ、そうなんですかあ」
 今度は越前屋さんと伊藤さんが声を上げてくる。

「あぁもう健太さんたらぁ…」
 美冴さんが恥ずかしそうに囁く。

「ま、いいじゃない、遅かれ早かれわかっちゃうと思うから」

「ああ、そうなんですねぇ、アリなんですね?」
 伊藤さんがわたしの顔を見て…
 『社内恋愛アリ』なんですねと目を向ける。

「うんかまわないわよ…
 ただし業務に支障が無ければね」

「じゃあえつ、頑張らなくちゃ」
 伊藤さんはわたしの言葉を受けて越前屋さんをからかう。

「あぁもう、あっちんたらぁ、からかうのはやめてよねぇ…」
 恥ずかしそうに呟く。

「あぁ早くわたしも大原常務に会ってみたいなぁ」
 すると伊藤さんがそう呟いてくる。

「うん、多分、今週中には向こうの都合にもよるけど、面接の段取りするつもりよ」
 と、わたしは笑いながら言う。

「うわぁ、なんかぁ、ワクワクしちゃいますぅ…
 どうしよう、わたしもえつのライバルになっちゃったら」
 伊藤さんは冗談でそう言ってきたのだが…
「あぁ、やめてよねぇ…
 もお、あっちんには敵わないからぁ…」
 と、越前屋さんは真面目に応えてきた。

 それには、わたしを含む四人の笑いを誘ってきたのだが…

「あっ、そうだぁ…」
 と、突然、越前屋さんが呟いてきたのだ。



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