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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 169 優秀な女性達

 そして私はその彼女、伊藤敦子の履歴書を受け取り、目を通していく…

「う、あ、うむ…」
 思わずこの履歴書の内容の凄さ、いや、素晴らしさに唸ってしまった。

「凄いでしょう?」
 ゆかりが、すかさずツッコんでくる。

「あ、うん、凄い…」
 凄いというか、素晴らしい経歴、履歴であった。

 確かに、いくら経営破綻寸前まで落ち込んだとはいえ、歴史があり、全国津々浦々に支店がある一流保険会社であるし、そして我が本社も超一流の一部上場商社であるから、経歴、履歴に関してはもっと凄い輩は沢山存在するのだが、それに勿論、彼女の経歴、履歴も見劣りはしないのだが…

「だけど…
 この経歴だけを見ると、保険業界への就職が不思議に感じるんだが?」
 そう思ったのだ。

「あ、はい…」
 すると、彼女がそう頷いたタイミングで…
「それに関してはわたしも以前に彼女に訊いたのよ…」
 と、脇からゆかりがそう言いながら目で合図をし…
「はい…実は…」
 そう促した。

 そして彼女、伊藤敦子はなぜこの保険会社に、いや、保険業界に就職を思い立ったのかを話し始めてきたのである…
    (P1096〜参照)

「…………う、うむ、そうか……」
 その彼女の理由に思わず唸ってしまう。 
 
 彼女もまた、あの国家官僚というエリートの道を蹴ってまでこの保険業界に来た越前屋朋美と…
 似た想い、気概のある、そしてタフな女性の一人なのだ。

「うん、わかった、ま、そもそも採用とかは佐々木室長に全て委ねてあるから始めから疑問は無かったんだが…
 了解だ、君、あ、伊藤くんなりに全力を尽くして、そして…」

 私はそう言いながら、ゆかり二顔を向け…

「この佐々木室長の力になってやってくれ…
 そしてそれは君の熱い想いにも通ずる筈だからな」
 と、私はゆかりと彼女、伊藤敦子に対してそう語る。

「は、はい、頑張ります」
 すると、彼女は満面の笑顔でそう返事をしてきた。

 この『新規プロジェクト』には、なんて優秀で素晴らしい女性達が集まったんだ…
 私は思わずそう感心してしまっていた。

 そしてこの彼女だけではない…
 あの旧態依然として散々女性達を虐げてきた『△△生命保険会社』にはもっと沢山の優秀な女性か埋もれているんじゃないのか?

 

 

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