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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 170 レディスパワー

 そしてこの伊藤敦子だけではない…
 あの旧態依然として散々女性達を虐げてきた『△△生命保険会社』にはもっと沢山の優秀な女性か埋もれているんじゃないのか?

 私はふと、昨日、越前屋朋美が話してきた『レディスパワー』をもっと活用して…
 という話しを脳裏に浮かべていた。

「あら大原常務、どうかしました?」
 すると、ゆかりが問うてきたのだ。

「あ、うむ、いや、実は…」
 そして昨日の越前屋朋美の話しをし…

「いや、本当にゆかりくんの周りには優秀な女性達が集まったなぁ…ってさぁ」
 これは本音であった。

「はい、本当にそうですね…
 でも、このみんなは、いや、わたしも含めた皆は、全員が…
 大原常務の部下なんですからね…」
 と、ゆかりは力強く言ってきたのである。

「あ…う、うむ、そうだな」
 そんなゆかりの言葉に私は眼から鱗が落ちる思いがした。

 そうなんだ、その通りなんだ…

 この新規プロジェクト準備室室長、そしてコールセンター部部長である佐々木ゆかりの元に集まっていて、そして、もう既に活躍し、働いている女性達の皆が…
 私の部下なんだ。

 私の戦力なんだ…

 それに現在の日本経済界の礎の重鎮の一人といえる『経営の神様』のDNAをしっかりと受けついている松下律子という貴重な存在、シンボルも…
 私の元にいるんだ。

 私は急に…

 天下無敵のパワーを再認識した感じになってきていた。

 だからこそ…

 この佐々木ゆかりと松下律子の二人は…

 いや、この二人は大切にしていかないと…

 しっかりと尖って生きていかなくてはと…
 心が高鳴り、昂ぶり、騒ついてきていた。

「じゃあ、とりあえず面接は終わりでよろしいですかね」
 そんな思いに昂ぶっていると、脇からゆかりがそう言ってくる。

「あ、うん、そうだな、じゃあ伊藤くん、これから頑張ってくれたまえ」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」
 そう一礼をし、彼女は部長室を出ていった。

「ふぅぅ…」
 私がそうため息を漏らすと…

「伊藤さん、すごい美人さんでしょう?」

「あ、うん、そうだなぁ…
 ここはいたずらに美人が多すぎるな」
 そう返す。

「うふ、ま、そうかもですね…
 あ、そうそう、わたし彼女に暫くお部屋を゙貸しますから」

「え?」
 


 

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