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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 4 黒歴史そのもの…

「あれ、ゆかり姫じゃん」

「えっ」
 振り向くと…

「あっ」

 わたしにとってのもう一人の『黒歴史』そのものの存在であり、最悪な危険人物である…
 俳優の『三山蓮太郎』こと『三山蓮』が立っていた。

「あれぇ、また仕事なんだぁ?」
 彼はそう言いながら、わたし達三人を一瞥してくる。

「あっ」
 すると鈴木くんが、わたしに気楽に話し掛けてきた俳優である彼の姿を゙認識して驚きの声を漏らした。

「僕らもさぁ、仕事…
 今度、ここのドラマに出るから打ち合わせなんだ…」
 マネージャーらしき人物と一緒の彼が話してくる。

「あ…」
 わたしは予想外の、そして一番会いたく無い存在にバッタリ出くわしてしまったせいの動揺で言葉が返せない。

「なんか、ゆかり部長の大学の先輩らしいんすよ…」
 この前、一緒に赤坂のテレビ局のラウンジて遭遇した杉山くんが得意気に説明をしてくる。

「ねぇゆかり姫、あのさぁ…」
 動揺しているわたしなどお構いなしに続けて話し掛けてくると…
「あ、蓮さん、急がないと…」
 マネージャーらしき人が慌てて制してきた。

「あ、うん…また電話するからさぁ…」
 そしてマネージャーに背中を押され、去り際にそう言いながらエレベーターの方へと歩いて行ったのだ。

 ドキドキドキドキドキドキ…

 ザワザワザワザワザワザワ…

 その後ろ姿を見ながらも、焦燥の心の高鳴りと騒めきは収まらない…

「うわぁゆかり部長、あの三山蓮太郎と知り合いだったんですかぁ?」
 わたしのそんな焦燥と最悪な気持ち等分かりもしない二人は、俳優と会ったという昂ぶりのキラキラとした目をしながら、そう言ってきた。

「…え、あ、う、うん、だ、大学のせ、先輩なの…」
 思い切り動揺した声音でそう応えたのだが…

「へぇ、やっぱりスゲェやぁ」

「そうっすよねぇ」
 興奮気味の二人はそう感嘆の言葉を言ってくる。

 確かに俳優である彼『三山蓮太郎』こと『三山蓮』は…
 現在、人気急上昇中の俳優であるから、そんなわたしの裏事情を知る由もない二人には関係は無かったのだ。

 そう、まさか、わたしと彼にあんな過去の関係があったなんて…
    (1148P〜参照)
 
「い、いや、凄くなんかないわよ…」

 

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