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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 6 再びの最悪な遭遇

「なんか稲葉が少し話しがしたいって言ってましたよ」
 わたしと稲葉ディレクターとの過去の裏側等知らない担当の方が、そうサラっと言ってきたのだ。

「え、あ、そ、そうなんですか?
 あ、えと、稲葉さんには?……」

 またすっかり動揺してしまったわたしがそう問うと…

「はい、一応、今日のことは教えてあります、多分、そのうち連絡がくるんじゃないんですか?」

「あ、そ、そうですか…」

「まあ、佐々木部長は華がありますから、是非とも稲葉にご協力もお願いしますよぉ」
 と、何も知らない担当の方は笑顔でそう話してきたのだ。

「あ、ま、い、いや、それは…」
 
 すると鈴木くんが、更に動揺してしまっているわたしを察知したのだろう…

「では、とりあえずこれからもよろしくお願いします…
 後日、また、ご連絡しますね…
 失礼します…」
 と、ナイスなタイミングでそう断りを入れてくれ、わたし達は退出する。

「ふぅぅ…」

 会議室を出たわたしは思わずそんなため息を漏らす…

「いやぁ、さすがゆかり部長っすねぇ、スゲェっすよぉ」
 と、何がスゴイのか分からないのだが、杉山くんがそう呟いてきた。

「え、スゴくなんか無いわよ…
 ただの昔の知り合いなだけよ」

「いやゆかり部長は美人だからぁ」

「おい、杉山っ」
 すると、さすが鈴木くんである、わたしの様子を敏感に察知し、鈍感な杉山くんを制してくれる。

「あっ」
 すると杉山くんも、やっちゃった…
 みたいな顔をして沈黙した。

 わたしはそんな鈴木くんに心の中で感謝する…

 やはり、そこら辺がシロウト童貞の杉山くんとの差なんだろうなぁ…
 一瞬、そんなことを思った矢先であった。

「あ、いたいた、お嬢さん」

 また、最悪な遭遇をしてしまう…




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