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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 74 敦子の想い(11)

 ドキンっ…

 するとわたしは、その『まゆみサマ』と目が合って一気に心を高鳴らせてしまい… 
 魅了されるがままに、いや、吸い寄せられるかの様に彼女の傍らへと近寄り…

 そしてその目を見つめながら、ううん、その目に魅き込まれ、見つめ合いながら…
 踊っていったのであった。

 いや、完全に心を魅了され、魅せられ、惹かれてしまったのだ…

 その感情の昂ぶりと疼きと揺らぎは、ゆかりお姫さまに感じていた想いと同等、いや、居なくなってしまった心の落胆の反動のせいもあるのか…
 憧れのゆかりお姫さまへの想い、恋慕以上の感じといえた。

 あぁ、なんてステキなヒトなの…

 ううん、あのヒト、ゆかりお姫さまみたいだわ…
 と、心が激しく揺れてくる。

 そして…

 あぁ、わたしはきっと、美しく、凛とした艶と色香のある存在に心魅せられ、魅了され、魅かれ、惹かれ、ううん、いや…

 好きなんだわ…

 わたしはその『まゆみサマ』の目を見つめながらそう思い、自覚したのだ。

 そしてその『まゆみサマ』が踊りながら手招きをしてきて…
 わたしは魅了されながらも近寄っていく。

 すると、サッと後ろに周り…
 そう、それはまるで、後ろからわたしを抱き、犯すかの様に踊りながら、腰を振り、揺らし、密着し、耳元に唇を寄せてきて…
『かわいいわね、食べちゃいたいわぁ』
 と、囁いてきたのだ。

『あぁ…』

 その密着感と耳元で囁いた息の感触に、そして感じる彼女の熱い体温と汗の香りに…
 わたしは一気に心とカラダを震わせ、疼かせてしまったのである。

 そう、この感覚が…
 初めてビアンというわたし自身の内なる、無自覚の性癖嗜好を意識した瞬間といえた。

 そして奥から…

 ズキズキズキズキ…と、激しく濡らし、疼かせ、昂ぶらせてしまったのだ。

 あぁ…
 
  だが、まだ、あの時の、あの夜のわたしは、この感覚がどんな意味なのか分からないでいた。

 ただ…

 ドキドキドキドキ…

 ウズウズウズウズ…

 という、高鳴りと昂ぶりの疼きに戸惑い…
 そしてあまりの揺らぎに自らお立ち台を離れ…
 トイレへと向かう、いや、逃げたといえる。

『はぁぁ、ふうぅ』

 わたしはトイレの洗面台の鏡の自分を見て…
 そう吐息を漏らす。



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