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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 90 敦子の想い(27)

『あら、まぁ…』
 その母親は、わたしのあまりの若さにやや呆れた様にそんな声を漏らし…

 そして以前にまゆみサマが云っていた『ウチは医者の家系なの』
 と、まるでその言葉を象徴する様なやや上品な、いや、決して一般市民のわたしらでは無いとわかる様な、いいや、上流階級みたいな品位と、そして我々一般市民をやや侮蔑する様な視線をわたしに向けてくる。

 そしてそれは、次の母親の言葉に全て現れていた…

『あの、まゆみさんと特別に親しいって事は、つまりそのぉ…
 そ、そんな関係なのよねぇ?』

 つまりはビアンの関係の相手なんだろう?…
 と、偏見と侮蔑の視線でわたしを見つめてきたのだ。

『は、はい…』

『いつから?』

『もう少しで4年になります』

『えっ…
 そ、それは貴女が高校一年生からってことなの?』

『は、はい…』
 わたしら頷く。

『…あ、あら、ま、まあ…
 な、なんて事なのかしら…』
 母親は本当に呆れたようであった。

 その母親の驚きと呆れは仕方ないとは思う…
 だってわたしとまゆみサマの関係は、16歳と28歳という、大人と子供といえる様な年齢差の、それも女性同士のビアンという、いわゆるアブノーマルな関係であるから。
 
『ま、まあ、分かってはいたけどぉ…
 そこまでとは…』
 母親はまゆみサマの性癖は知っていた様ではあったのだが、わたしとのこの年齢差に本当に呆れた様子で、そして本気な侮蔑の目をわたしに向けてくる。

 だがわたしは、そこまでの、ある程度の予想と覚悟はついていたのだ…
 だってこれが普通の、世間一般的な反応であるという事は当然分かっていたし、アブノーマルな性癖の定めでもあるから。

 それにわたし自身だって、約4年近くもまゆみサマと親密な関係を保っていたのにも関わらずに、そしてあまりにも年齢差があり過ぎてもいたから…
 友人というウソもつけずに、親には絶対秘密にしていたからである。

『あのね…
 もう、まゆみさんとはね…
 終わりにしていただける、いや、終わりにしてくださるかしら』

『えっ』

 そしてわたしはこの後…
 衝撃的な言葉を母親から言い渡されたのだ。




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