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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 92 敦子の想い(29)

 あんなに抱かれ、いや、愛されていたのに…
 わたしはまゆみサマの変化には全く気付かなかったのだ。

『そう、ふぅぅ…』
 母親は呆れた様な、そんなため息をついた。

『ま、仕方ないわね…』

『………………』

 仕方ないわね…
 それはシロウトの、そしてまだまだ何も知らないガキのアナタには分かろう筈がないわね…
 と、そうもわたしの心には聞こえてきたのだ。

 そう…
 本当にわたしはガキで…
 子供で…
 廻りの事なんか、いや、自分の事しか、ううん、自分の事でさえ不安で不惑で、何も気付かない、分からないガキであった。

 そして、母親のそんな嫌味な言葉にわたしは…
 心の衝撃と、激しく湧いてくる絶望感と失望感に堕ち、打ち拉がれてしまったのである。


 更に…
『ま、まあ、もってあと3ヶ月から半年位かしらね…』

『………………』
 そんなダメ押しの母親の言葉の衝撃に…
 声が出なかった。

 そして、激しい心の衝撃、絶望感、失望感に、その後の…

『ま、だから………な……でね…
 可哀想だけどね……もう………のよ………ね…』
 途切れ途切れになってしまい、母親の言葉が聞こえない。 
 
 ただ…

『ウチとしての家柄もあるから…
 そんな関係だし…
 恥ずかしいから…』 

 もうまゆみさんには会わないで欲しいのね…


 それだけは…

 聞こえた…



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