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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 93 敦子の想い(30)


『家の家柄もあるから…

 そんな関係だし…

 恥ずかしいから…

 もう会わないで欲しいのね…』

 母親のその言葉で、わたしとまゆみサマの約4年間に渡るビアンの蜜月な関係が…
 突然終わった、いや、強制終了させられたのである。

 どうやら次の日には突然、まゆみサマは、自身の一族が経営している病院に転院させられたらしく…
 そして携帯電話も繋がらなくなり…
 そのままわたしにとっての音信不通の行方不明となってしまったのであった。

 あの当時のわたしには何も出来ない、いや、出来なかった…
 ううん違う、方法はあったかもしれなかったのだが、わたしはその母親の言葉に激しく衝撃を受け、動揺してしまい、そして狼狽えてしまって、どうして良いのか解らなくなってしまったのだ。

 つまりは指を咥えてただ狼狽えている間に…
 わたしとまゆみサマとの関係を強制終了されてしまったのであった。

 本当に消息は完全に解らなくなってしまったのだ…
 なぜならわたしはまゆみサマの個人的な家族関係の背景の事は全く知らなかまぢたから、いや、厳密には教えてもらえなかったから。

 せいぜい出身が東京という事…
 出身の医大…
 大学生時代にビアンに目覚めた事…
 そして出会った『クラブCANDY』に大学生時代によく通って、当時のクィーンとして君臨していた事…
 久しぶりにクラブに遊びに行ってわたしを偶然見掛け、一目惚れしてくれた事等々…
 そんなレベルの内容位しか訊いてはおらず、まゆみサマ個人的な身内の話しはほぼ知らなかったのだ。

 いや、知らなくてもわたし達は円満に愛し合っていたから、そんなお互いの事は必要無かったのである…
 だから、突然のまゆみサマの消息不明には愕然としてしまったのであった。

 だって本当にまゆみサマの背後の関係は知らないから…

 そこからわたしは深い迷宮に堕ち…
 そして迷走が始まったのである。

 希望に満ちた大学入学の春先に…

 わたしは深い迷宮に堕ちてしまい…

 彷徨い、迷走をしていく事となる…




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