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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 124 敦子の機転

 すると、恐らくは直ぐ傍でわたしと美冴さんの様子を見ていたであろう敦子が、すかさず機転を利かしそう割って入ってきてくれたのだ。

「あのテラスからのロケーションと夜景、ヤバかったぁ」
 明るく敦子がそう続けて言ってきた。

「…え、あ、うん、そ、そうでしょう、あの羽田空港の夜景とかヤバいわよねぇ…」
 そんな敦子の言葉に美冴さんがそう応え返してきたのである。

「え、あ、はい、美冴さんもお邪魔した事あるんですねぇ?」

「うん、この前のお盆休みにね、お泊りさせてもらったのよ」
 そんな敦子と美冴さんがさり気なく、いや、わたしには何か探る、ううん、探り合いみたいな会話には聞こえたのだが、敦子の機転によってそんな会話に流れ…

「ええっ、いいなぁ、わたしも行きたいなぁ」
 と、傍らからすかさず越前屋さんが割り込んできて、会話の内容が完全に逸れた感じになったのである。

 いや、違うかも…

 そんな敦子、美冴さん、越前屋さんの3人の会話をホッとした感じで眺めていると…

 敦子の機転に美冴さんがさり気なく合わせて、わたしへの不惑の想いを自ら流してくれた…
 そんな感じに見て取れるのだ。

 ううん違う…
 もうさっきのわたしの狼狽えと動揺をすかさず察知し、サラリと呑み込んでくれたみたい。

 そしてその3人で軽く会話を交わす敦子の美冴さんに対してからのわたしにチラと向けてくる視線が…
『やはり美冴さんなのね…』
 と、語ってきていた。

 何も感じず、ただ単に明るく話してるのは越前屋さんだけであり…
 わたし、美冴さん、敦子の3人の心の中はそれぞれに不惑な想いが渦巻いている様な感じがする。

「うわぁ、あっちんいいなぁ、わたしもぉ行きたいなぁ」
 越前屋さんが盛んにそう言ってきた。

「じゃあ特別に今夜越前屋さんを招待してあげるから…」
 わたしらとりあえずこの会話を止める意味でもそう言ったのだ。

 いや、今夜はその方が良いかも?…
 そんな想いが一瞬にして浮かんだのである。

 ううん違う…

 今夜も…は、ヤバいから…

 

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