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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 130 美冴さんの思惑は?

 今朝の敦子の絡めてきた脚の接触は、昨夜の余韻の流れからの想いの絡まりであるに違いなく…
 だが、今のこの美冴さんが絡めてきている脚の、いや、ストッキング脚の接触の意味とは重さ、想い、思いが違うのであろうはずなのだ。

 この絡まりは…

 今朝の不惑な挙動からの心配と…
 
 揺らいでしまった目の不惑さから想像てきる、わたしと敦子の昨夜の出来事への嫉妬心の現れなのであろう…

『わたしがいるのに…』
 
 そして…

『お互いに彼がいるけれど女同士はわたしだけじゃないの?…』

 そんな目、指先、ストッキング脚の絡まりの意味なのであろうと、わたしは自分勝手に感じ、想像してしまっていた。

「でもぉ、この感じでいけばぁ、完全スタートは近いですよねぇ?」
 そんなわたしと美冴さんとの無言の、指先とストッキング脚絡み合いの遣り取りなんて思いもしていない越前屋さんは変わらずに半分後ろを向きながらテンション高めに話しを続けてきていた。

「え、あ、う、うん…そうよ…ね」
 わたしはそんな彼女の話しにかろうじて合わせ、たどたどしく応える。

「ですよねぇ、色々なセクションの皆も、結構、基本的なアウトラインを煮詰めてきているみたいだしぃ」

 そうである、各セクション毎にこの新プロジェクトの『ネット型生命保険』つまりは…
『ANL生命保険(あんしんネットライフ生命保険)計画』
 の、スタートに早くも確実に備えつつあるのだ。

「そうよねぇ、ウチも申し込みシステムプログラムさえ出来ちゃえば、一気に進むしねぇ」
 と、美冴さんはわたしに指先とストッキング脚を絡ませながら、普通に応えてくる。

 コールセンター部主任の美冴さん的には…
 だからそのプロトタイププログラムを大体確認できれば、コールセンター部としてのガイドラインが構築しやすくなるのだ…

「え、あ、うん、そ、そうよね」
 だけどわたしはそんな普通に応えてくる美冴さんにもドキドキと揺らいでしまっていた。

 え?…

 み、美冴さんは?…

 そう、わたしはこんな美冴さんの指先とストッキング脚に絡まれ触れられ疼き昂ぶらせているのに平気なのか?って…

 だが、絡まれ、触れているその部分からは熱い想い、感情、いや、愛情、そして嫉妬心が伝わってきているのだが…

 え、美冴さんは冷静なのか?

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