テキストサイズ

シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 132 美冴さんの唇の動き…

 わたしは疼きが昂ぶり、心が激しく揺らいでしまう…

「なんかぁ、みんなと飲むのも楽しみですねぇ、ね、ゆかりさん」

「あっ、う、うん、そ、そうね」
 すると突然美冴さんは、わたしのストッキング脚の膝の内側を撫で、いや、愛撫しながらこちらを向き、目を見ながら言ってきたのだ…
 そしてなんとかそう応えた。

「はいそうですよねぇ、わたしもぉ楽しみですぅ」
 越前屋さんも明るく言ってくる。

「……」
 そして美冴さんは指先の愛撫はそのままに、無言で、いや、じぃっとわたしの目を見つめてきた。

 あ、えっ…

 だがわたしはそんな美冴さんの目を見つめ返し、ううん、目を逸らせなかったのだが彼女の目を見つめ返して気付いたのだ。

 あ、目が、美冴さんの目が濡れて、いや、艶やかに濡れている…と。

「………ふ、ふぅぅ…」
 すると美冴さんはふと吐息を漏らし…
 スゥっと触れていた、いや、愛撫をしてきていた右手を離し、そして密着させていた自身のストッキング脚も離してきたのである。

「…は、ふ、ふぅ……」
 その瞬間、わたしもそんな吐息を漏らし、その美冴さんからの指先とストッキング脚同士の絡まりの呪縛がスっと解けたのだ。
 
 そして美冴さんは再び、いや、小指だけを伸ばし、わたしの手に触れ…
「……………」
 黙って言葉には出さずに、唇だけを動かして…
『ごめんなさいね』
 と、わたしの心に語り掛けてきたのである。

 え、あ、今、ご、ごめんなさいって?…

 そう唇が動いた…
 間違いなくわたしの心にはそう聞こえてきたのだ。

 え、ごめんなさいって?…
 多分、わたしは目でそう美冴さんに語ったのだと思う。

 すると…
「ごめん、ちょっと悪戯が過ぎちゃったかも…」
 と、前の座席に座っている越前屋さんには聞こえない様な本当に小さな声で囁いてきたのだ。

 え、い、悪戯って?…

「う、うん…」
 わたしはそう応えるしか無かった…
 だってわたしにはその美冴さんの指と脚の絡まりの動きの意味が分からなかったから。

 だけどそんなわたしの疑問の想いも目に表れていたらしく、また、更に小さな声で…
「ちょっとやきもち…焼いちゃったの」
 と、恥ずかしそうに囁いてきたのである。

「あ、ぅ、うん…」

 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ