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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 133 罪悪感

 美冴さんは更に小さな声で…
「ちょっとやきもち…焼いちゃたの」
 と、恥ずかしそうに囁いてきたのである。

「ぁ…ぅ、うん…」

 やっぱり美冴さんはやきもちを…
 嫉妬をしてくれたんだ…

「でね…つい…ね…
 ちょっと悪戯過ぎちゃったわよね」

「あ、う、うん」
 美冴さんはそう小さな声で囁いてくれたのだが…
 ドキドキドキドキ…
 と、またわたしは少し違った意味の昂ぶりを感じてしまっていた。

 なぜならば…
 そう囁いてきた美冴さんのその表情が…
 その様子が…
 あまりにも可愛らしくて、あ、いや、魅惑的な表情であったから。

 それにもうひとつ…
『やきもち、嫉妬』
 を感じたということはつまりは…

 完全に昨夜の伊藤敦子さんとわたしとの関係がバレてしまっているということであり…
 そしてわたしへの想い、好意、愛ということの裏返しな思いの表れでもあるということ。
 

「ぇ、ぁ、そ、それは…」
 わたしはそんな事実に気付き、慌てて否定の、いや、言い訳の抗いの声を呟くと…

「ふ、ゆかりさん、わたしにはバレバレですよ」
 と、やや潤んだ、艶やかな目を向けて囁いてきたのだ。

 そして…
「わたしには、ううん、わたしだから分かるんですけどね」
 そう続けてきた。

「え…あ…う、うん…」
 返す言葉が無かった、それに恥ずかしかったし、いや、いいや、昨夜、伊藤さんと愛し合ってしまったことがなんとなく美冴さんに対する裏切り行為になってしまったのではないのか…
 と、そんな罪悪感さえもが浮かんできていたのである。

「もう…わたしがいるのに」
 それに、そんなわたしの罪悪感を更に昂ぶらせる様な言葉を囁いてきたのだ。

「あ、や、ご、ごめんなさい…」
 だからすかさず謝ってしまった。

 だが…
「あ、いや、ううん、いえ、そんなぁ、謝らないでくださいよ…
 ただ…」

「え?」

 え、ただって?…
 
「いや、ただ、あまりにもゆかりさんの様子が分かり易かったからぁ…
 つい悪戯、ううん、からかいたくなっちゃっただけですからぁ、わたしの意地悪が過ぎちゃいましたね…」

「え、分かり易いって?」

 そんな美冴さんの気遣いの言葉に罪悪感は少し薄れてはきたのだが、その反面、今度は嬉しい思いが湧いてきてしまう…

 だって…

 

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