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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 5 『ダック』への誓いの思い

 ブー、ブー、ブー…
 その時、ゆかりの携帯電話が着信をする。

「あっ、杉山くんからだわ」
 そして私の揺れに揺れていた心の思いが、この瞬間にスッと落ち着いたのだ。

「うん、じ、じゃあ…」
 私は電話に出るゆかりにそう声を掛けてコールセンター部を後にする。
 
「ふぅぅ」
 そして私はエレベーターに乗り、そんなため息を吐く。

 ヤバいな、やっぱり律子もゆかりも、いや、二人とも堪らない魅力がある…
 私はさっきのゆかりとの会話に揺れに揺れた自分の心の動揺を思い返してそう想う。

 いいんだ、焦るな…
 そしてそう自分に必死に言い利かせる。

 焦るな…

 なぜならば、既に私は二人共に、つまり、松下律子と佐々木ゆかりの二人を、いや、もう一人いた、そう蒼井美冴を含むの三人の美しく、能力があり、魅力溢れる彼女達を手放さない…
 と、決めた筈だから。

 そしてギンギンに尖るとも決めた筈だから…
 
 私はエレベーターを降り、タクシーを拾い…
「新橋駅前へ」
 と、『◯△生命株式会社』の本社に向かいながら、ついこの前の夜、あの律子の部屋に鎮座する『ダック』のぬいぐるみに、いや、私自身の心の想いを映し出し、私に諫言をしてくれる『ヤツ』にそう誓った夜を思い出していた。

 あの三人の彼女達と繋がり続ける事は、すなわち、新たにこの心に湧き起こった、いや、昂ぶり、抱いてしまった『下剋上』という野心、野望の火を、熱く、激しく、昂ぶり燃やしてくれる材料であり、エネルギー的な存在に必ずなってくれる筈だと…
 あの夜、あのヤツ、あのダックが私の心に囁いてきたのだ。

『三人の彼女達を手放しちゃダメだ』
 と…

 佐々木ゆかりという強力な武器でどんどんと前に進む…

 そしてバックには主流派の松本副社長派閥が存在し、更にその背景に日本経済界の血脈の存在といえる松下律子が…
 いや、わたしの後ろ盾としてその最終兵器的な存在が鎮座しているのだ。

 それに、あの蒼井美冴という不思議で不惑な魅惑溢れる存在も、必ず今後、強力な存在感を発揮してくれるに違いない
のである…
 だから私は彼女達を決して手放さない。

 それに、彼女達から派生してくる様々な新たな魅惑溢れるパワーが次から次へと現れてきている…

 越前屋朋美然り…
 伊藤敦子然り…

 

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