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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

35 明るい律子

「常務さん、何にしますか?」
 すると、オーナーの彼がオーダーを訊いてきた。

「あっ、そうだった」
 私は彼のその言葉で一気に空腹感が蘇る。

「え…と、バドワイザーとエビピラフをもらおうか」
 そして横目で『律子は?』と問う。

「あ、わたしはこのペスカトーレとカシスオレンジにします」

「はい、了解っス、ウチのシーフードはサーフィンに行く度に仕入れてるっスから美味いっスよ」
 と、明るく言ってきた。

「へぇそうなんですね、楽しみ」
 律子は明るく応える。

 いや、ホント、こんな明るい律子は、そうあの突然来た私の田舎の遊園地のプールで、甥っ子達と遊んでいた時の笑顔以来だなぁ…
 と、この本当に明るい笑顔を見て感じていた。

「え?」
 すると律子はそんなわたしの視線を感じたのだろう…
 そう不思議そうな声を出す。

「あ、いや、なんか楽しそうだなぁってさ…」
 私はそう答える。

「はい、なんか凄く楽しいです、それに、アナタ、あ、いや、常務の隠されたプライベートが知れたみたいで…」

「いや、その隠されたは大袈裟だなぁ」

「ええ、でもわたしは殆ど知らないし…」

「いや、そんな事は無いさ、キミが、律子が…」
 するとそのタイミングで…

「お待ちどうさまっス、バドワイザーとカシスオレンジっス」
 飲み物が来た。

「あ、はい…」

「お、なんか今夜はいつもより飲んでるみたいだが?」
 とは言っても、自宅マンションで缶ビールを約半分なのだが…
 私知る限りの普段の律子は、ほぼ飲まない。

「うん、でもまだギリギリ大丈夫かなぁ、それより?…」
 そう笑顔を浮かべながら、さっきの私の言いかけが気になるようである。

 本当に今夜の律子は明るい…



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