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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 38 リード…

 本当に私の周りの女性達は皆、鋭い…

「もしかして、あの山崎のおじさま絡みの主任に引き上げた彼女、あ、えぇと、蒼井さんの事ですか?」

「うん、そう、そうだよ」

 本当に勘、カンが鋭い…

「確かに彼女は本当に凄い美人さんですよねぇ、それになんとなく翳がある感じでぇ…」
 私は、そんな事まで良く知っているな…
 という目で見た。

「あ、はい、『新規プロジェクト』のメンバーの履歴はいちおうは一通りパソコンでチェック済みなんてす」

「そうか、そうなんだ」

 さすがとしかいいようがない…

「はい…」

 そしてその時の律子の目から…
『まさか彼女とも何かあるの?』
 みたいな感じが伝わってきたので…

「ほら、とりあえず食おう、冷めちゃうぞ」
 私は慌てて、いや、できるだけ冷静を装ったつもりでそう言う。

 これ以上話したらボロが出てしまうかもしれない、いや、ボロボロになりそうである…

「……あ、はい、そうですね、いただきまぁす」
 ほんの一瞬、間があったのだが…
 律子はすんなりとそう明るく言って、いや、彼女自身がこの会話が取り留めのないと判断したようで、さっと切り替えてくれたみたいであったのだ。

 本当に私の周りの女性達は…

 勘が、カンが、鋭い。

 この律子にしろ…

 ゆかりにしろ…

 美冴にしろ…

 皆、美人で、理知的で、聡明で、そして凛として…

 堪らない魅力の女性達であるのだ。

 だが…

 今の私には…

 この律子が…

 このプライベートまで明かされてしまった様なこの律子が…

 そして律子のバックボーンを知ってしまった今…

 一歩、いや…

 二歩、三歩と…

 徐々にリードを広げ始まてきているのかもしれない。

 それがだから、今夜マンションに連れて行き…

 この店『カフェバー波道』に連れて来た…

 そういう事なのかもしれない。

 そしてこの心のときめきと昂ぶりも…

 そんな想いの現れなのかもしれない。




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