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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 9 想いの重さ

「大学四年生かぁ…」

 て、ことは22歳になるのか…

「は、はい…」
 和哉はまだ、落ち着きなく返事をしてくる。

「失礼します…」
 そのタイミングで女性店員が白ワインを注いできた。

 きっとこの店員も、この不釣り合いなわたし達をやや怪訝な想いで見ているんだろうなぁ…

 熟女が若いツバメとの逢瀬みたいな…
 
 だが、そう思われれば今夜のわたしの作戦は大成功といえるのだ。

 これは和哉の為なのだ…

「じゃ…」
 そしてわたしはワイングラスを手にし、乾杯を促す。

「あ…」
 和哉は慌ててグラスを持つ。

「ええと…
 あ、そうか…、
 じゃ、さ、再会に乾杯…」
 と、カチンとワイングラスを合わせた。
 ここはわたしの視線を感じ、何とか和哉がそう言えたのだ。

「ふう、美味しわ…」
 わたしはそう呟き、そして和哉を見つめる。

 あらあら、まだキョドってるわ…

 和哉にとっては、いや、もちろんわたしにとってもなのだが、運命の再会の夜なのである。
 そしてこれは終わりを告げる為の始まりの、いわゆる最後の晩餐とも云えるのであるのだ。

 重さがわたしよりも、和哉の方が何倍もあるはずであろう…

 だから、和哉の狼狽えと動揺はよくわかる。

 もう少しだけ、わたしがリードしてあげようか…


「まさか…ね…
 こうして和哉と再会するとは…
 そして、こうしているなんて…
 昨夜まで、本当に考えもしなかったわ…」
 そしてわたしは、そう呟いたのだ。

 本音である…

「そ、それは…
 僕も同じ想いです…
 まさか、本当に再会できるなんて…
 そしてまさか、こうして食事までできるなんて…」

 まるで、まだ夢を見ている様な顔である…




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