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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 27 五年間の責任感

「変わらずに、ますます魅力的になっていてくれてありがとう…
 って思っています」

 ドキドキドキドキ…
 そんな和哉の激白といえる想いの言葉に、わたしの昂ぶりが治まらないでいた。
 いや、ますます昂ぶってきてしまっていたのだ。
 だが、この昂ぶりは最近の自律神経の暴走的な危険な昂ぶりとは違っていた。
 
 ドキドキドキドキ…

 疼きではない…

 喜び、喜悦なのか…

「美冴さんがあの五年前より更に魅力的になっていて、僕の追い続けてきた五年間は無駄にはならなかった…
 間違ってはいなかった…って…」

 見つめてくる和哉の目が、男の、いや、大人の男の目になっていた…

「う、うん、わたしこそ…
 ありがとう…
 褒められて嬉しいわ…」

 やはり喜び、喜悦を感じていた…

 いや少し違うかも…

 責任感を果たした感じか…
 そんな感じであった。

 責任感って…何だ…

「この五年間が無駄にはならなかった…
 そして万感の想いであり…
 もう充分なんじゃないのか…
 もういいんじゃないのか…
 と、今までの五年間の迷走と、渇望の想いが全て報われた様に感じています…」

 全て報われた…

 和哉は報われたのか…

 そうか…

 その責任感か…

 和哉にとってのわたしという存在感の、憧憬の象徴的な存在感を、今夜のこのわたしの精一杯の着飾った装いの魅力を魅せつけて正解だったのである。

 和哉にとって永遠の、この五年振りの再会の時間の流れを感じさせなかった今夜のわたしの精一杯の美しさのアピールが、彼自身の中の時間を蘇らせ、そして止める事が出来つつあるのだろう。
 それを無意識にわたし自身が責任感と認識したのかもしれない。

 とりあえず、和哉に対しての責任感
は果たしたのである…

「僕の中のあのまだ動き続いている時計を、時間を、ようやく止める事が出来ます…」
 と、和哉は言ってきた。

 その言葉にわたし自身も万感の想いを感じてしまう。

 万感はわたしの方よ…

「美冴さん、アナタに…
『大好きだった…』
『大好きよ…』
 って今夜言われて、全ての五年間の想いが、思いが、重しが…
 報われて、氷解できました…」

 そんな和哉の言葉を訊いて、わたしは
感動してしまっていた。

 そして心から安堵の想いを感じていたのだ…




 

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