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シャドー鳥インフルエンザ編

第1章 ゾンビが発生した。

「もうすぐ警備員が来るわ、私達は他の患者さんの身を守るのが先決よ」

坂東久美子の、的確な判断力は、伊藤恵令奈に劣らぬスピーディーさがあった。看護師の世界は、つねに真剣勝負だ。救急車で担ぎ込まれてくる患者は、血まみれで死の淵をさ迷っていると、言ってもいい。だから素早く手をさしのべてあげたい、早く助けてあげたい気持ちが強かった。

「キシィ、キシィ、キシィ、キシィ、ーーー」

「ガウッ、ガウッ、ブチッ、う、うがっ!」

ゾンビになった女性患者は、痩せた60代の男性患者の左耳を引きちぎった後、喉も食いちぎっていた。頸動脈が鋭い前歯で切断せれて、血液が派手に吹き出していた。
伊藤恵令奈は坂東久美子に支えてもらい、普通に歩ける状態に戻っていた。

伊藤恵令奈は、女ゾンビと痩せた男性患者のことが気になり、後ろを振り返ったが、男性患者の頸動脈から血が噴水のように、吹き出していた。

「キシィ、キシィ、キシィ、キシィ、ーーー」

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