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第3章 中学2年

そんなある日、部活の説明会があり、僕らは、同じ中学出身の仲間達10人くらいと一緒に参加した。

僕は、中学時代、陸上をやっていたが正直、そこまで足が速いわけでもなかった。スポーツ全般、クラスでは出来る方ではあったが、突出して出来るわけではなく、陸上についても無理だと考えていた。バレーやバスケはメジャーなスポーツで、中学からやっていないと、レギュラーにはまずなれない。そこで、当時僕の住んでいる地域には、中学の部活になかった卓球をやってみようと思っていたのだ。

おそらく当時のその高校の卓球部は、中学で他の部活だった落ちこぼれが入部する感じだったと思う。

その説明会に彼女の姿があった。

あの娘が入部したら、どんなに楽しいだろう。少しは、話す機会があるかもしれないと、期待に胸を膨らませていた。

そして、入部初日、彼女の姿があった。僕は、嬉しくてたまらなかった。

それからは彼女を見る機会が増えた。彼女は、人気があった。いろんな男が彼女に話しかける。

部活でも、通路でも、どこでも……。

僕は、自分に自信がなく、自分から彼女に話しかけることもなかった。

ただ、たまに彼女から話し掛けられることはあった。

僕は、今更だが、田中隆之という名前なので、

「田中くん!今日体育館使えないこと知ってた?外で体力作りだって!男子のみんなにも言っておいて!」

「え?僕が言うの?めんどくさいな~。」って思ったけど、話し掛けられることは嬉しかった。

何故か部活の情報は先に女子に入り、女子から僕に連絡があるのだ。だいたいは彼女、(名前は安田美鈴)からだ。

男子に伝えると

「何でお前がそんな事知ってるの?」

とたいてい言われ、

「女子から、伝えて!って言われたから!」

と言うと、

「女子って誰だよ!」

「安田さん!」

「何で安田がお前に連絡してくるの?」

「知らないよ!たまたま会ったからじゃない?」

という会話を、必ずと言っていいほどすることになる。

そんな僕も高校2年生になった。春のインターハイが終わると既に3年生が部活を辞め、夏休みの前頃には、真面目に練習してきた斐あってか、団体戦のレギュラーの中に入っていた。


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