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ヌードモデルかんさつにっき

第8章 潮時

ここまで辱しめたわりには、意外なほど優しく指が侵入してきた。

ああっ、新鮮。

セックスの行程から指責めが省かれて久しいということを、いまになって思い出した。

指が、捜している。

残っている感覚器官がそこしかないというように、
彼の動きだけが私を支配する。

ぐ……ぐぅ……

屈伏の形にされた裸体。
拷問を受けている体内。

ビクンと反応する一瞬を見逃すまい、と彼の動きは慎重だ。

素っ裸にして観察しているのに、見逃すことなんてあるの?
というのが私の意見。

しかし、襲ってきた快楽のまえに、反対意見はあっけなく意味を失った。

筆舌につくしがたい一瞬の感覚のあと、
噴き上がった、潮。

その瞬間、私は「無」になった。

恥ずかしいとか、おぞましいとか、思いもしなかった。

なるほど、フローリング以外が汚れないように、こんなお尻丸出しポーズにされたんだ──今さら、気づいた。

どこまで飛び散ったのか確認する勇気はなく、
拷問に敗北した者は、ぐったりと裸体をさらすしかなかった。

床の清拭は彼がやってくれた。

全裸の私はベッドに這い上がり、仰向けになって四肢を伸ばした。

長い夜だなぁ。

下着姿での前戯から、屈辱の全裸潮噴きに至るまで、普通の行為がないまま、夜は更けていく。

このまま眠ってしまいたいな。

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