もう推しとは言えない *番外編更新中
第11章 文化祭
「えっ、いや、私も由香里と…」
「最後の文化祭も、睦人くんとまわりなって!」
嫌だ…!
何が楽しくて、最後の文化祭、睦人と一緒に見てかなきゃいけないのよ…。
私は由香里と見たい、そう言おうとしたら…背後から睦人が私をぎゅっと抱きしめてきた。
「サンキュ〜、椎名。遠慮なく、俺はこいつとまわってくわ。」
「そうしな!ちゃんと他の子から守ってあげてね?」
「あぁ、もちろん。」
「ちょっと…睦人、離して!」
もう…どうして、皆寄って集って睦人のことしか信じてくれないんだろう。睦人の本性を知らないからか…。
はぁ…。
「そう騒ぐな。宣伝がてら、色々見てこーぜ。」
「一人で行ってきたら?そっちの方が宣伝になるよ。私は由香里と見てくるから。」
「も〜…真帆ったら素直じゃないんだから。ごめんね、睦人くん。」
…由香里は基本的にいい子だけど、すごくミーハーなのが困る。
イケメンの言うことは全て信じてしまう…いつか詐欺に引っ掛からないか心配だ。
はぁ…と思わずため息が漏れる。
何とか、睦人から距離をとるけど、睦人の視線は痛い。
「真帆。俺とまわるの、決定事項だからな。」