もう推しとは言えない *番外編更新中
第12章 元彼VS好きな人 2
睦人の投げたボールは…エグいスピードと威力をもって、パシッと沖田くんのグローブのど真ん中に収まった。
当然、ストライクで…ポチはさすがだな、と苦笑い。
プロも注目する、睦人の実力はやっぱり只者じゃない…。
結局、ポチはあっさり三振を取られて。
でも…ポチもポチで、三振を取り続けて、お互いに打てずに続いていき…。
五、六回お互い打てなかったものの、その次。
さすがに長期戦にもなってポチにやや疲れが出たのか、甘いボールになったのを睦人は見逃さなかった。
カキンッ…とホームランさながらの音をたてて、打たれたボールは高々と空に上がっていく…。
「…これで、一歩俺が有利ってことですね?次、俺が三振取れば俺の勝ちってことで。」
「…そうだな。いや、天晴れだわ。」
「そりゃどーも。…九嶋先生も、ブランクありながらよく俺をここまで抑えましたね。
ま、それも…終わりですけど。」
勝利を確信したように意気揚々としている睦人に対し…追い詰められた状況なのにも関わらず、クールな表情を崩さないポチ。
睦人の一球目は、低め。かなり速いボールだった。
その次も、ポチはなかなかその速度に反応しきれていない様子…。