もう推しとは言えない *番外編更新中
第2章 浮気現場
椎名、というのは…私の親友、椎名由香里(しいなゆかり)のことだ。
由香里…もしかして、わざわざ睦人に助けに行くよう言ってくれたの?あとで、お礼言おう…。
「…おい、聞いてんの?彼女だからって俺、こういうとこは甘やかさねーよ?」
「う、うん…ごめん、今行く…」
「早くしろよな…。俺、先行ってるから、早くしろよ。マネージャーなんだから、部員より先に来てろっつーの。」
チッ、と舌打ちとともに睦人は私を置いていく。
睦人って…あんな感じの人だったっけ?
(痛い…)
痛い、し…血、出てる。
保健室行きたいけど…睦人に怒られそうだなぁ。
とりあえず、何とか立ち上がって…ミーティングの教室に向かう。
ズキズキ痛む頭。もう、何も考えられないかも…。
そう思いながらも、何とか辿り着いて…無理やり笑みを浮かべる。部員の皆に、心配かけるわけにはいかない…。
そして、遅せぇよ、と言いたげな睦人の視線を感じる…。
「す、すみません、遅れてしまって…。」
「いや、大丈夫ですけど…ビデオ、持ってきてくれましたか?」
「あ…」
ヤバい、忘れてた…というか、そんな暇もなかった。
どうしよう、また…。