もう推しとは言えない *番外編更新中
第12章 元彼VS好きな人 2
対して、睦人は信じられないというように呆然と立ちすくむ…。
「…田口、大人を舐めるなよ。お前はまだまだ未熟だ。今日は俺の勝ち。まぁでも、ほぼ奇跡みたいなもんだな。
それでも、勝ちは勝ちだ…大人しく、身を引いてもらおうか?」
「っ…俺は、」
「そういう約束の元の勝負だ。はぁ…疲れた。」
俺も若くねぇんだよ、全く、と嘆くポチ…。
そういう姿ですら可愛い。
睦人ファンはガッカリした様子で、各々教室とか校舎に戻っていく。残ったのは、私と…野球部員、そして当事者二人。
「九嶋先生、俺…まさかあなたがそんな強いとは思ってませんでした。」
「ん?あぁ、俺も同感だ。お前相手に打てるとは思ってなかったけどな…ま、吉岡が応援してくれたからかな。負けるわけにはいかねーよ。」
そんなふうに、思っててくれたんだ…。
それで実際に勝ってしまうところが、本当にかっこいい。
ズルいよ、もう…かっこよすぎて。
「…完敗ですね。」
「いや、惜敗だろ。まぁ…約束はちゃんと守れよ?」
「さぁ…どうでしょうね。」
ちらっと私を見た睦人だったけど…すぐに私から目を逸らして。
野球部員達にペコッとお辞儀をしてから、その場を立ち去った。