もう推しとは言えない *番外編更新中
第13章 友達の好きな人 ※由香里side
「…ちゃんと、その服、似合ってますよ。だから…目、合わせてくれると嬉しいんですが。」
うっ…ズルい、そんな言い方するなんて。
恐る恐る顔を上げると…思っていたよりもずっと、澤畠先生はしゃがんだまま優しい表情で私の方を見ていた。
それに…胸がぎゅっと締め付けられる。
「…やっとですね、目が合ったの。」
少しだけ…嬉しそうにその目元を細めた澤畠先生。
…やっとですね、って言われるくらい、確かに私は、澤畠先生のことを避けてしまっていた。
今日、というかさっきも多分…目を合わせれていたかどうかは微妙なところ…。
告白してフラれた時から、ずっと…澤畠先生のことを正面から見ることが出来なかったから、確かに…こうしてちゃんと目が合うのは、久しぶりのことかもしれない。
でも、それは…澤畠先生のせいなんかじゃ、決してなくて。
私がただ、臆病だったからだ。
「…すみません、私、」
「…謝らないでください。私も、虫がいいことくらい分かってるんです。
…あなたを傷付けたのは、私の方ですからね。」
確かに…傷付いた、けど、でも…。
私が、何か言おうとするよりも前に…澤畠先生は私に言う。