もう推しとは言えない *番外編更新中
第13章 友達の好きな人 ※由香里side
「…ただ、分かってはいてもですな、あそこまであからさまに避けられると…少しモヤモヤしてしまいますね。」
椎名さん、と…澤畠先生が優しく私を呼ぶ。
「あなたが…私と関わることが辛いと言うなら、それはそれで構いませんし…ただ、そうじゃないなら…あまりあからさまに避けないで欲しいなぁ、と。」
どっちが良いですか?なんて…ズルい人。
あくまで、選択権は私にある。でも…実質、一つしか用意されてないみたいなもの。
(好き…)
好き、って、もう一度言ったら、この人は困るくせに。
…でも、もう言わないよ、多分。というか、言わせてくれない気がする…。
「…後者の方、で、」
「ふっ…椎名さんなら、そう言ってくれると思ってましたよ。じゃあ、そういうことで…、」
立ち上がった澤畠先生は…あれ?と首を傾げた。
「どうしたんですか…?」
「おかしいですな…九嶋先生がいないとは。はて、どこに行ったんでしょうか…。」
「あ…真帆もいない…」
「…私を置いてデートとは、良い度胸ですな。」
ふっと笑いながら言ってるあたり、冗談なんだろう。
その証拠に、表情も穏やかだし…。
というか、真帆〜!!どこに消えてったのよ…。