もう推しとは言えない *番外編更新中
第2章 浮気現場
…睦人は、冷たい言葉しか今日言ってないから、ポチの言葉が胸に染みる。
お前は、頑張ってる…そう言われるのが、こんなに嬉しいとは思ってなかった。推しに言われたから、かな…?
「…ここ最近のお前はむしろ、頑張りすぎだ。田口は文句言ってくるかもしれないが、んなの気にしなくて良い。
お前のマネージャーとしての働きぶりには、俺はいつも感謝してんだよ。…だから、少しくらい迷惑かけても構わねぇ。」
「そんな…私はそんな、感謝されるほどのことなんかしてないよ…。」
そう、私が言うのとほぼ同時に保健室に辿り着き、ポチはベッドの端に私を座らせる。
「…良いか、吉岡。」
「何、ですか…?」
「お前がお前を卑下するのは構わねぇが、それはお前を評価してくれる人を卑下するのと同じことなんだ。それを忘れんなよ。」
口調も素っ気ないし、口も悪いのに…。
ポチの、私を手当してくれる手つきは優しいし、何だか泣きそうになる…。
(ポチのバカ…何で良いこと言うの)
これじゃ、いつもみたいに笑い飛ばせない。私の苦手なしんみりとした空気…。
「…よし、とりあえずこんなもんか…。」
「あ、ありがと、ポチ。」