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もう推しとは言えない *番外編更新中

第15章 それぞれの葛藤 ※先生side



それにも関わらず…椎名さん、は…バレンタインの時だっただろうか、告白してくれたけど…。
もちろん、応えるなんて出来ないし…何で私を好きになったの?という気持ちの方が大きかった。

…こんなオジサンのどこが良いのか、私にはさっぱり分からないけれど…たった一つだけ、分かったことがある。
椎名さんは、今まで私に迫ってきたり告白してきた女子生徒達と違って…私が思っていたよりもずっと本気だってこと。

だからこそ、理解ができない…。
もっと近くに、いくらでも良い人はいるだろう。

こんな…私なんかを好きになったところで、苦しくなるだけなのに。
…振った時の、あの無理やりな笑顔を思い出す。

あのとき、初めて…断ったこと、申し訳なく思った。
彼女が…本気だったからかもしれない。

それでも…彼女が本気ならなおさら、私は断ることしか出来ない。
押し付けられたように渡されたチョコレートと、彼女の泣きそうな、いや…ただ、私の前で泣くことを耐える顔…そういうのを見たら、やっぱりやるせない気持ちになる。

(そういや…結局、お返しできてない…)

お礼として…ホワイトデーに、地元で有名な、小さなお菓子屋さんで買ったクッキーの詰め合わせは用意していた。

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