もう推しとは言えない *番外編更新中
第15章 それぞれの葛藤 ※先生side
…椎名さん達の学年が三年生になって、椎名さんのクラスの数学の授業は私じゃなくなったから、今年度になってからは…今日が初めて、椎名さんと話した日。
…椎名さんの姿自体は何度か見かけてたし、目が合いそうになったことも何度かあったけど、例のごとく目は逸らされるし、逃げるようにどっか行っちゃうし…。
そんなに?ってくらいだった。
そういうのがあっての今日だったから…私も、どこかネジが外れてたのかもしれない…。
こんなこと言ったら本当にただのヤバいオジサンだけど…きっと、あのとき九嶋先生と吉岡さんが来てくれなければ、私は…。
なんてそんなことを考えていると、聞き覚えのある声が後ろからした。
「あっ、由香里、あそこにいるの澤畠先生じゃない?」
「ちょっ、真帆っ…」
…相変わらず、仲良いなぁ。
少し微笑ましい気持ちになって、彼女達の方を振り向く。
「ふっ…何してるんですか?二人で。」
「ポチが、澤畠先生ならあそこにいるぞ〜って言ってたので。」
何を言ってんだ、九嶋先生は…。
というか、それで来た理由もよくわからん。
椎名さんの方を見ると…また、吉岡さんの背中に隠れてる。
さっきは…私の方、ちゃんと見ててくれたのにな。
「…吉岡さん、」