もう推しとは言えない *番外編更新中
第15章 それぞれの葛藤 ※先生side
少しいいことを思いついて…私は、ほんの少しの嘘を吉岡さんに伝える。
「九嶋先生が、あなたに用があると…吉岡さんと二人でやることがあるらしいですぞ。行ってきてあげてください。
椎名さんのことは…私が預かってるので。」
…預かる、という言い方は良くなかったか。
でも、適切な言葉が…浮かぶには浮かぶけど、それを言ってしまったら、なぁ…。
ただ、素直な吉岡さんは私の言葉をまんまと信じて…むしろ嬉しそうに、椎名さんのことを私の前に押し出す。
「…ちょっと、真帆っ…」
「ポチが呼んでるみたいだし…由香里も、今日の残り時間、澤畠先生と二人でどこか見てったら?」
「っ、真帆の裏切り者ぉ…」
「へへ、ごめんって。じゃあ…またね、由香里。」
そう言って、吉岡さんは立ち去っていく。
…椎名さん、いつまで顔隠してるつもりなんだろう。
「…椎名さん、まーた隠れんぼですか?」
「っ…だ、って…、」
私の顔を見た瞬間、顔を赤く染める椎名さん。
…これは、かなり意識してるなぁ…。
そういう…少し派手そうな見た目なのに対して、純粋な感じなのが…意外と甘えベタなところが、他の人と違って見える所以なのだろうか。